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夏のヘアスタイル
2008年6月の記事
 最近は髪を染めるのが当たり前になってきました。しかしヨーロッパの女性たちは、アジア系の女性たちの美しいストレートの黒髪にあこがれているって、知っていますか?
 ですから来日すると、若い女性たちがウエーブをかけたり、茶髪にしているのを見てびっくりします。
 ちなみに日本で鼻の整形手術というと、高くするものですが、ヨーロッパでは逆。高い鼻のコンプレックスに悩む人ばかりなので、誰もが小さな低い鼻を持ちたがっています。おかしなことに、誰もが自分にないものねだりなのですね。
 さて、夏になると面倒なのがヘアスタイル。ロングのセンターパーツ(真ん中分け)が流行です。と言われても、なんだか暑苦しいですよね。アップにしてきれいにセットしても、夏は汗ですぐに髪形が乱れてしまいます。そんな夏こそ、流行とは関係なく、女性にとっていつも最高のエレガントで、とても簡単なヘアスタイルをおすすめします。
 それは髪を後ろに詰めて、まとめることです。この髪形では美容院が「仕事にならない」からなのか、ヘアスタイルの流行として主流になることはないのですが、パリなどヨーロッパの街中では、時代や季節を問わず数多く見掛けるスタイルです。
 特に最近のバレエ・ファッションの影響や、浅田真央さんらが活躍するフィギュアスケートの影響もあって、髪を後ろにまとめる、いわゆる「シニョン」が多く見られます。
 「シニョン」にすると、頭が小さく見えて、プロポーションが美しく見えます。「シンプルこそ、一番のエレガンス」とはココ・シャネルの言葉ですが、モデルさんに「シニョン」を求めた最初のデザイナーも、シャネル女史でした。
 夏はシンプル・エレガンスで!

 

気になるトレンド(流行)
2008年5月の記事
 女性はいくつになっても、おしゃれをしたいものです。でも、流行のおしゃれは若い人だけのもの…なんてあきらめていませんか? 確かに有名デザイナーの手掛けるファッション・ショーを見ると、そのまままねることは40代以上、いや30代の大人でも少し抵抗があります。
 それに20、30年ぐらい前の流行といえば、今年の夏はフレアスカート、ロングスカートというように、とても分かりやすい流行でした。ところが、今やひと口にトレンド(流行)といっても、六つも七つものスタイルが提案されて、どのように選べばよいのか分かりません。
 例えば雑誌を見ると、今年の夏のトレンド・テーマは…エスニック、フラワー、ドリーミィ、キャンディカラー、モダンアート、ロックガールなどというようなキーワードが並んでいます。ひと夏の流行のために、これらのスタイルをすべて買い込んでいたら洋服だんすも財布も大変!
 でも、おしゃれってほんの少しでも、そのシーズンのトレンドを取り入れることで、昨年とは違う新しさを感じることができるのですから、あきらめてもいけません。
 私のトレンド活用法をお教えしましょう。まずテーマの中から、自分の生活スタイルや年齢、持っている洋服を考えて、最もアレンジしやすいトレンドを選びます。私の今年のテーマはフラワーです。といってもお花柄ワンピースを買い込むわけではありません。いつもの黒をベースにした服装で、花柄のアクセサリーやバッグなどをコーディネートします。トレンドはワンポイント!
 それだけでも、いつもと違うトレンディーなおしゃれの出来上がりです。

 

帽子のおしゃれ
2008年4月の記事
 「髪は女性の命」といいますが、出掛けたり、人に会うたびに美容院に通っていたら、時間も出費も大変です。時には髪形を気にしない、帽子のおしゃれを楽しんでみましょう。
 帽子をかぶると、自然と背筋が伸びて姿勢が良くなります。これは心理学的な人間の本能で、世界の歴史上で王族たちが頭に冠をかぶるのも、この背筋を伸ばす威厳を身に備えるためだそうです。
 私の母の青春時代は「帽子なしで外出するのは行儀が悪い」と言われていたそうで、帽子は女性のおしゃれの必需品でもありました。
 40年ほど前から男性も女性も帽子姿は少なくなってきましたが、最近では流行アイテムとして、また帽子が復活してきています。昔の男性がかぶっていたフェルトの帽子、かわいいベレー帽、ロシア風の毛皮の帽子までスタイルもさまざまです。
 帽子をかぶるときにはアクセサリーは少なめ、シンプルな装いにします。特に首回りはすっきりさせないと、頭全体が重たい印象を与えるでしょう。
 よく帽子に合わせたファッションをする人がいますが、私は反対。帽子がウエスタン風ならば、女性らしいワンピース。パンツスーツのときには、帽子は女性らしいものをかぶるなど、相反するギャップを生かした方がおしゃれです。
 帽子のかぶり方も大切。鏡の前で試してもらいたいのですが、そのときに注意することは、帽子にばかり気を取られて、全体のプロポーションを忘れてしまうことです。できれば頭だけでなく全身が映る大きな鏡の前で試してください。一般的に浅くかぶるよりは目深にかぶる方が、全体として頭が小さく見えますよ。

 

春に役立つトレンチコート
2008年3月の記事
 春らんまん。でも、春だと思っても、梅雨の季節を前に、まだ肌寒い夜もあって、お出掛けのおしゃれには苦労します。そんな季節には薄手のトレンチコートが役に立ちます。
 トレンチコートは、グレタ・ガルボなど50年代のヨーロッパ映画でマニッシュ(男性的)な女性のファッションとして登場しましたが、今ではフランスでも女性のおしゃれの定番アイテムです。
 トレンチならば、急なお出掛けでも普段着の上に羽織るだけなので、雨模様の日にも便利。さらに、そのまま外へ出るには少し肌寒いドレッシーな装いをした夜のお出掛けにも最適です。コートといっても上着感覚でドレッシーにもカジュアルにも着こなせるので、TPOを気にしなくても大丈夫です。その上、流行に左右されず、年齢にも関係なく、まさしくオールマイティー。ワードローブにトレンチが一つあればコートやジャケットの4着分ぐらいの威力を発揮します!
 トレンチコートの場合、冬のコートではないので、下はできるだけ薄着。着膨れしないで体にフィットすることが大切です。トレンチのベルトはきちんと締めないで、無造作に結びます。ボタンはベルトの上か下のボタンを一つ留めるだけ。襟を立てたり、わざと崩した着方がトレンチの「粋」なのです。まじめにボタンを全部留めて、きちんと着るとやぼったい感じになります。
 「ちょっと肌寒いので、出がけに羽織ってきました」というさりげなさがトレンチの命です。
 さあ春風に吹かれ、トレンチで、ピクニック?それともお食事会?

 

流行と遊びましょう
2008年2月の記事
 昨年から今年にかけての冬は、ミニスカートが流行しました。そして今年の春夏には、ロングスカートが流行するとか。寒いときにミニ、暖かくなったらロングが流行とは…不思議な感じがしますね。
 でも、今の世の中は「一つの流行」に左右されず、あれもこれもとたくさんの流行が入り交じっているので、それほど流行を気にする必要はないかと思います…が、されど流行なのです。
 流行などに惑うことなく「私のスタイル」を貫いていても、やはり女性は「すてきね」とか、「おしゃれね」と言われたいものです。流行は、すてきとか、おしゃれと感じさせる時代感覚ですから、そればかりに夢中にならずに、大人らしくさりげなく取り入れたいもの。頭の片隅で考えておけばいいと思います。
 さて、今年の春夏の流行はキュロットや幅広のフレアタイプのロングスカートです。春夏ですから、花柄などの明るくさわやかな感じがいいでしょう。問題はシャツですが、私なら白のTシャツやマニッシュっぽい(男性的な)白のワイシャツにします。シャツまでも花柄にすると、バカンス気分でちょっと遊び過ぎ。花柄ワンピースやフリル、リボン飾りのついたワンピースもスペイン風で着飾り過ぎかも。できるだけシンプルにというのが、今年の流行を取り入れる原則です。
 ちょっとしたお出掛けならば、Tシャツの上にジレ(ベスト)を着て、真珠のネックレス(黒真珠もおすすめです)を二重か三重にすると完ぺきです。真珠といっても、イミテーションでOK。流行を取り入れた遊び心のおしゃれを、ぜひ楽しんでください。

 

大人かわいい・ニットのマフラー
2008年1月の記事
 秋のファッションの定番だったスカーフがあまり流行しなかった代わりに、冬になってニットのマフラーが大流行しているようです。しかも手編み風の大きくて長いマフラーが流行しています。
 先日、幼稚園の保護者のために講演しました。そのとき、私は毛糸の暖かいマフラーをしていました。すると、ある園児から何て言われたと思いますか?
 「モレシャンさん、かわいいわねぇ」ですって(笑)。
 「かわいい」という言葉のニュアンスも変わったのでしょうが、毛糸のマフラーは小さな子どもたちにも、暖かくてふわっとした安心感を与えるのでしょう。
 大きなマフラーをぐるぐると首に巻いて、あごを隠すぐらいにします。すると、何だか子どものころに戻ったような気分になりませんか。寒い冬の日、大きなマフラーを巻いて雪道を歩いた思い出。
 流行のキーワードは「大人かわいい」なのです。といってもお花柄とか、ピンクのフリルを着るのではありません。スカーフは大人の女性を演出しますが、今の時代ではちょっとドレッシー。一方、マフラーは大人でもかわいらしくなれるアイテムです。
 「あったかあったか」と「ふわふわ」感が、大人のかわいらしさをさりげなく強調してくれます。40代から、ずっとおばあちゃんになるまで、このマフラーを使ったファッションは、冬の定番として取り入れてもいいでしょう。
 でも、いくら手編み風の毛糸がかわいいといっても、セーターもコートも…と欲張ると厚着で太く見えてしまうので失敗です。大きなマフラーを巻くときは、コートはスリムタイプで。
 「大人かわいい」で冬のおしゃれを楽しんでくださいね。

 

守るより生かす時代
2007年12月の記事
 パリののみの市に行くと、骨董(こっとう)品というよりガラクタ市のような光景が広がっています。もちろん中には由緒正しい値の張る骨董品もありますが、多くの人々は投機目的でも、また芸術的価値を求めるのでもなく、どのようにすればガラクタを自分たちの日常生活に生かすことができるか? そんなことを考えながら、見て回るのを楽しんでいるのです。古いものの利用にかけてはフランス人は天才です。
 銅製のさびついた鍋などでも、きれいに磨いて台所の天井からつるすようにすれば、パリのマンションでも田舎風のキッチンが演出できます。
 古さをどのように演出するか、それがフランスの粋といえるでしょう。モダンな家具を買って、まるでインテリア売り場のショールームのような部屋作りは、お金さえあれば誰でもできます。でも古さを生かすことは美的センスがないと難しいでしょう。
 「伝統や自然を守りましょう!」という掛け声は、今でははんらんし過ぎて何だかむなしく心に響くばかりです。というのも、その一方で伝統や自然を破壊するコマーシャルばかりがテレビから流れてくるのですから。私は守るという消極的な姿勢よりも、ガラクタを生かすパリ人のように伝統や自然を積極的に生活に生かすことができないかと考えます。
 古い着物の端切れがあればこたつカバーに、使わなくなった陶器やきりの火鉢があれば花器に再利用できます。また裏山があれば、大きな窓や縁側にリフォームすれば見事な自然の借景が楽しめます。
 守るのではなく生かす。これが究極のエコロジーであり、現代流の格好良さです。

 

伝統再発見
2007年11月の記事
 先日、富山県の砺波へ行ったとき、旬の子持ちアユがおいしいという店に案内されました。アユも最高でしたが、古い小屋を改築した店のインテリアが素朴でとても温かかったのに感動。天井には奇妙な形をした大きな照明がありました。まるで障子を丸めて六角形にしたような…。
 「モレシャンさん、あれは何だか分かりますか? 昔はどの家にもあったものですよ」と地元の友人から出された難問クイズ。農家の方なら知っている方も多いと思いますが、それは田植えのときに使う「枠回し」だったのです。田んぼに小さな四角形の跡をつけるものです。
 それに障子の紙を張ったのです! なんて素敵なアイデアでしょうか。以前、このコラムでも火鉢をワインクーラーとして使う工夫を書きましたが、昔の美しい道具たちもアイデア一つで現代によみがえるのです。
 数日後、琵琶湖畔の城下町・滋賀県彦根市を訪れました。お城の周囲、町づくりの美しさに圧倒されました。江戸時代風、その近くに大正時代風の商店街が再構築されているのです。店には地元の若い商店主の皆さんが生き生きと働いています。そして、たくさんの若い観光客が散策を楽しんでいます。石川県金沢市での「ひがし茶屋街」や富山県富山市の越中八尾などでもそうですが、こうした伝統の色濃く残る町では地元の若い人たちの活躍が目立ちます。
 「古いから捨てる」のではなく、古くても「美しさを守る」、伝統再発見とでもいうべきブームが日本中に起こっているようです。一過性のブームでないことを祈ります。

 

間接照明の魅力
2007年10月の記事
 昔の日本家屋の照明は、朝には障子を通してやわらかい日差しが部屋の中に取り入れられ、夜はあんどんの間接照明でした。
 そんな薄暗い照明の中でこそ、日本のびょうぶや漆の器などが深く美しい色合いを見せるのに、電球の光になって日本の伝統美が消えてしまった…と嘆いたのが、今では世界中の照明デザイナーの間で教科書のように愛読される谷崎潤一郎のエッセー『陰翳礼讃(いんえいらいさん)』。これは戦前に書かれた作品です。
 暗く辛い時代の反動からか、戦後の経済発展とともに、部屋全体が真昼のように明るくなる天井からの蛍光灯が、日本の照明の主流になってしまいました。『陰翳礼讃』を読んで日本文化に夢中になった多くの外国人は、日本に来て一般家庭を訪れるとがっかりします。
 ヨーロッパでは人の顔を醜くするという理由で、天井からの照明を避けるのが普通です。特に青白い蛍光灯は顔色を悪く見せるので嫌がります。人の顔だけではありません。食事のときの料理もまずく見え、器も映えません。
 インテリアで家具やオブジェの選択以上に大切なことは、照明。
 部屋の雰囲気を変えたいと思ったら、一度、照明を替えてみませんか。天井からの照明を思い切って外して、スタンドランプを部屋の片隅にいくつか置いてみてください。それでも、少し暗いと感じるなら、天井からのスポットライトで補って、必要に応じてつけるというのがいいでしょう。
 間接照明にして、食卓にろうそくでもともしてみてください。自宅のリビングが素敵なレストランに変身しますよ! それに、あなたの顔も…もっと美しく見えます!

 

礼儀は日本の世界遺産
2007年9月の記事
 礼儀というと少し堅苦しく思う人がいるかもしれませんが、人に出会うと笑顔であいさつをする、親切を受けたらお礼を述べる、困った人を見たら助ける、一つひとつの出会いを大切にする…これらはすべて個々の人間関係だけでなく、社会全体を優しく柔らかくする心の潤滑油です。
 でも近ごろは経済優先の格差社会のせいか、どうも、そんな礼儀が薄くなってしまった気がします。特に大都会で潤滑油欠乏のギスギス感が漂います。
 私が初来日した50年ほど前の日本は、戦後の経済発展途上でまだまだ苦しい生活でしたが、「日本人は何てエレガントなのでしょう!」と礼儀の良さにびっくりしました。そうなのです、エレガントというと、おしゃれに着飾ることだと思っている人が多いのですが、エレガントの第一条件は礼儀正しいことなのです。
 そんな心の潤滑油が消えつつあるのは、世界中の現象かもしれません。貧富の差、宗教の対立、失業者の増加、人種問題…こうした社会不安がますます世界から礼儀を奪っていくようです。
 先日、日本の礼儀を学ぼうと、フランスのテレビ局が取材チームを送り込んできました。日本人のマナーの良さ、笑顔での応対、サービス精神…日本ではごく当たり前の光景も、彼らにはすべて驚きの連続だったようです。確かにフランスだけでなく多くの国々から見れば、日本の礼儀はまだまだ健在。
 最近、世界遺産のことが話題になっていますが、私は日本人の礼儀こそ守るべき、また世界に伝えるべき心の世界遺産だと思います。世界に誇る日本のエレガント、いつまでも大事にしてくださいね!

 

おしゃれが生む元気パワー
2007年8月の記事
 私はおしゃれの専門家です。どうしたらセンス良く着こなしができるかアドバイスもします。おしゃれについての講演もします。でも、「おしゃれだけど意地悪な人」と「悪趣味だけど優しい人」が並んでいたとしたら、私は後者の人とおつき合いします。おしゃれは人生のプラスアルファであって、一番大切なものではないのです。もちろん、素晴らしいのは「おしゃれ上手で優しい人」ですが…。
 先日、飛行機に乗ったとき、派手な服装をした熟年女性と隣り合わせになりました。見た目から口うるさいオバタリアンかしらと身構えたのですが、話し掛けられて話をしてみると、とても品があって優しい方なのです。そしてこう言うのです。
 「モレシャンさん、私の服装ヘンでしょう? みんなから派手過ぎと言われますが、私はたくさんの色を身に着けていると、とても元気になるの」
 その方と話をしていると、私まで元気をもらえるようなパワーにあふれた人でした。確かにこの方はセンスがいいとはいえませんが、もしも私がアドバイスをして元気がなくなってしまったら…どちらがいいのでしょう。センスはイマイチでも、このおしゃれが、この人のスタイルなんだわ…。
 時には人のスタイルは、おしゃれを超えることがあります。だからといって、これが私のスタイルなのよと、まるで開き直ったようにおしゃれをしなくなるのも困ったもの。どこにでも汚れたジーンズとTシャツで出掛けたりするのは、「もう、どうでもいいや」というあきらめのようで考えもの。自分の元気を減らすばかりでなく、相手の元気まで奪ってしまいそうです。

 

たこ焼きとシャンパン
2007年7月の記事
 先日、大阪で開催されたエルメスのパーティー。テーブルの上にあったのは、なんと、たこ焼きとシャンパン! エルメスは老舗ブランドの中でも、伝統を守るだけでなく、前衛とモダンを上手に取り入れるブランドですので、「さすが!」と思いました。こうした粋なアンバランスが、おしゃれの裏技です。
 フランスのファッション誌を見ていると、最近、若者の間で話題になっているのが、ストリート・シック。ラフなストリート・ファッションにシルバーのスパンコールのトップを着たり、またはクラシックなブランド・バッグを手にしたり、一カ所だけアンバランスなシックを取り入れるのです。
 でも、こうした裏技は決して新しいことではありません。わざとバランスを崩して、冒険的なファッションを楽しむのは、おしゃれの基本といってもよいでしょう。裏技ではなく、表技かもしれません。
 日本でも、帯を少し崩すとか、襟足を大きく見せる、あるいは髪形をわざと乱してほつれ髪を見せる…など、一歩間違えると下品になりかねないギリギリの境界を楽しむ「粋」というものがありました。また50年代から60年代にかけては、男性的要素を取り入れたマニッシュが流行しました。これらはあえてアンバランスを狙ったおしゃれの手法といえます。
 でも、皆さんが迷うのは「どこまで崩せるか?」という、その境界線の判断でしょう。崩すアイテムは一つだけ。中途半端ではなくて、思い切ること。この二つのこつを守れば、あとはご自由におしゃれを楽しんでください。

 

スペースがなくてもアイデアがある
2007年6月の記事

 戦争中は日本でも同じことだったと思いますが、パリでもおしゃれやインテリアどころか、食べるものにも事欠く毎日でした。
 私はまだ幼かったので、本当の苦労は知りませんが、母にとっては大変な毎日。そんな非常事態ともいえるときでも、私の母は頑張り屋さんでした。食事のとき、道端で拾ってきた花でもテーブルに飾っていましたし、ちょっとした布切れでも中に新聞紙を入れて、私のコートを作ってくれたり。
 石油ショックのころ、フランスで「私たちに石油はないが、アイデアはある」という流行語がありましたが、まさしく母はアイデアで困難な時代を乗り切りました。
 モノがなかった時代に比べると、ぜいたくなのでしょうが、現代はモノがあり過ぎて、どこの家でも収納スペースが悩みの種。衣類がむき出しになって部屋の中にぶら下がっていたり、段ボール箱の山がリビングルームにあったり…。みなさんの家も、モノであふれ「倉庫」のような状態になっていませんか?
 おしゃれのこつは「欠点を隠す」なのですが、インテリアのこつも、そうした醜い部分を隠すことから始めましょう。段ボールの山にシーツをかぶせて隠すのもよし、部屋の隅に間仕切りのカーテンを取りつけるもよし。
 日本の住宅を見ていて、意外と利用されていないのが壁。私の家ではリビングや廊下の壁に薄い幅の本箱を上から下まで壁全面に取りつけています。本はもちろんですが、香水瓶や化粧品など見た目に美しいものはすべてこの棚に置きます。とにかくスペースがなくてもアイデアで勝負です。

 

持ち寄りパーティーのススメ
2007年5月の記事

 「じゃあ、デザートはお願いね」
 そう言ってマルチーヌへの電話を切ると、私は大急ぎでパリ・コレクションのショーに駆けつけました。
 翌日の夜、親しい友達が10人ほどわが家に集まってくれました。それぞれワインや料理の大きなお皿、そしてデザートにパンやチーズなどを手にして。
 私が用意したのは簡単なサラダとお花で飾ったテーブル。短い滞在で、毎日ショーに追われるスケジュールの中、ゆっくりと友達と会って食事ができるシステムが、自宅での持ち寄りパーティーなのです。
 最近、こうした自宅での食事会がパリジャンの間で流行しているそうです。理由は三つ。一つは、レストランでは費用がかかり過ぎること。割り勘にしても、最近のパリは東京以上の物価高。二つ目は、レストランでは周りがうるさくて落ち着かないこと。三つ目が食べ物のクオリティー。手作りなら安心です。
 一人でオードブルからデザートまで準備するのは大変ですが、分担制にすれば、それぞれが飛びっ切りのアイデアで自慢の食材を集めて来てくれます。フランソワは地方の出張帰りで地元のチーズ、マルチーヌはフルーツのタルト、料理好きのアンドレはメインの子羊料理、ワイン通のジョルジュはブルゴーニュからの取り寄せワイン…。
 東京に帰って、夫にそんなパーティーの報告をしたら、「そういえば、昔は法事のときなんか、親せきや近所のおばさんが料理を持ち寄って集まっていたなあ」。
 失われたのは習慣だけではなくて、持ち寄りを気軽に提案できる友達づき合いではないでしょうか?

 

若手工芸作家から学ぶこと
2007年4月の記事

 「息子に継いでもらうほどの需要がありませんから…」。日本の伝統工芸の担い手の方々が、そう言ってため息を漏らします。大量生産で漆はプラスチックに代わり、きりの火鉢は現代の生活では使われなくなりました。後継者を育てる以前に、伝統工芸では職人が食べていけなくなって、日本の素晴らしい匠(たくみ)の技が歴史から消えていってしまいます。
 そんな大変な時代の中、あえて伝統工芸にチャレンジする金沢の若手作家たちにテレビの取材で会いました。彼らの柔軟な物の考え方と才能にびっくり。伝統をそのまま踏襲する職人ではなく、どちらかというと現代アートの芸術家です。九谷焼の技法と色合いを使って、デザインは現代の遊び心。漆は大きな動物のオブジェに! きり工芸ではきりの「木の座布団」に!
 とにかく用途とか道具にこだわらない自由な発想で、伝統工芸がもたらす質感をアートに生かしているのです。彼らの一人はこう言います。
 「売れるかどうかは、分かりませんが、とにかく素材の素晴らしさを知ってもらいたいのです。アートとして親しんでもらえれば、きっと道具としても持ちたくなるのではないでしょうか」
 質よりも量と低価格を重視する消費社会になって、まじめな物作りをする人はどんどん社会の端っこに追いやられてしまいます。
 でも、一方では環境や健康問題に関心が高まり、量や値段よりも質を求める時代が来ていることも確か。工芸だけでなく、きっと農業も…。伝統にこだわりながら、自由に発想する若い人たちに期待しています。

 

笑顔がおしゃれの基本
2007年3月の記事

 春は出会いの季節。ほんの小さな出会い、袖触れ合う程度でも、末永い友情に育つかもしれませんし、たとえ一度きりの出会いも一期一会。おしゃれとは、そんな出会いの一つひとつを大切にするマナーというか、優しさだと、私は思います。
 よく、おしゃれは虚栄だとか、自己主張と言う人もいますが、「こんにちは」というあいさつと同じ。出会いを気持ち良くする潤滑油です。
 「私はシャイだから…」と言って、あいさつもしない人がいます。そういう人は往々にして、おしゃれにも関心がなく、どこに行っても普段着ばかり。中には、「これが私のスタイルです」と開き直ってしまっている人もいますね。特に男性に多いのですが。
 私はせっかくの出会いなのに、あいさつにもおしゃれにも努力をしない人はシャイではなくて、単に自分勝手でわがままな人だと思います。そんな人は努力をしないから、出会いも少なく、考え方も狭くなって老化も早く訪れますよ!
 実は、私もシャイです。誰だって出会いは緊張します。でも、シャイだからこそ、初めての出会いには気を使って、それを大切にします。
 私は「まあ、素敵なブラウスね!」とか、まず相手の良いところを口にするようにしています。すると、必ず相手の顔に笑顔が浮かぶでしょう。誰でも褒められることはうれしいことですもの。すると、自分の心の中のシャイな気持ちが、少し溶けるのです。なんだかリラックスして、自分も相手に笑顔を返すことができます。
 考えてみると、何よりも笑顔がおしゃれの基本なのかもしれませんね。

 

究極のダイエットは「おばあちゃんの味」
2007年2月の記事

 最近、女性のダイエットばかりでなく、男性の4人に1人がメタボリックシンドロームだということで、男性にとってもダイエットは重要課題です。同時に「食育」という言葉も話題になっていて、子どもたちの食を通じての健康も大切になっています。
 私もおしゃれがしたいからだけでなく、健康のことも考えて、今までたくさんのダイエット法に挑戦してきました。結局、最も長続きして、最も効果があるのは何だと思いますか? それはグランママン(おばあちゃん)からママン(母)に引き継がれた、わが家の「おふくろの味」である、野菜ポタージュなのです。
 ニンジン、トマト、セロリ、ニンニク、パセリなどさまざまな野菜にコンソメを少し入れて、少し硬めにゆでます。バターなどの脂肪は一切使いません。それをミキサーにかけるだけで、あとは塩とコショウで味つけをして完成。温めても冷たいままでもおいしい、野菜ポタージュの出来上がり。
 日本だけでなく、どこの国にも「おふくろの味」は存在しますが、昔から伝えられた料理はどれも健康的なものです。ダイエット食として、昔ながらの和食が話題になるのも当たり前かもしれません。それに「おふくろの味」ならば、飽きることもありません。
 でも、困ったことに最近の子どもたちにとっての「おふくろの味」は、ハンバーグだったり、カレーライスだったり、トンカツだったり……。メタボリックシンドロームが増えて、子どもの肥満もまん延するはずです。
 これからは「おふくろの味」ではなく、「おばあちゃんの味」が求められる時代かもしれませんね。

 

暮らしにもおしゃれしましょう!
2007年1月の記事

 おしゃれというと服装のことばかりを考えがちですが、インテリアやテーブルコーディネート、つまり「暮らしのおしゃれ」をきちんとできない人は、どんなに着飾ってもセンスの悪さが装いにも出てしまいます。
 「どうせ、私はセンスが悪いから」とあきらめてはいけません。センスが悪いとは、きちんとしていない、つまり、だらしがないことなのです。
 まずは部屋の片づけから始めましょう。片づけが済んだら、自然と気になるのは色の統一感。部屋を見渡して、最も大きなボリュームの色が基本色になります。そして二番目の「サブカラー」を見極めます。例えば壁が白っぽいときには、白が基本。多くの家具が茶色なら、茶色がサブカラー。その2色を決めたら、今度はそれ以外の色を隠すこと。新しく家具を買い替える必要はありません。取りあえず場所を変えたり、または基本色の布地で雑然としている所を覆ったりして、すっきりさせてみましょう。これだけでも部屋が見違えてきます。
 次に大事なことは毎日の食事、つまりテーブルコーディネートです。ここでも基本はシンプル。器はできるだけ無地で、白一色が基本。白はどんな料理にも映えます。すでに民芸調とか、同じシリーズで器がそろっているなら、それを基本にして、ほかの器は片づけてしまいましょう。
 家具や洋服と違って、シンプルな器は手軽に買い替えられるので、この際、統一感のある器をそろえるのも手かもしれません。
 そんなシンプルな生活環境に暮らすだけで、もう、あなたの「おしゃれセンス」はワンランクアップ! 装いにも生きてくるはずです。

 

レトロな和風インテリア
2006年12月の記事
 皆さんの家には、今では無用の長物となった火鉢が物置の片隅に眠っていませんか?
 立派な陶器だったり、またはきりの火鉢など、捨てるにはもったいないけれど、暖房システムが電気や灯油などに替わってしまった現代では、もう使うこともありませんね。
 そんな古道具も、ちょっと発想の転換をすれば素敵なインテリアになります。火鉢はちょっと大きなワイン・クーラーとして使えます。剣山を中に入れて、花を生けるのはいかがでしょうか?
 「そんなのヘンだわ」なんて言わないでください。今、パリやニューヨークや東京の骨董(こっとう)品店では、火鉢が和だんすと一緒に並んで、とても高い値段で売られているのですよ。買う人は、もちろん火鉢としてではなく、ワイン・クーラーや花器として使うのです。
 私たちガイジンのカンチガイではありません。火鉢という固定観念がないので、自由な発想ができるのです。今では日本の若い人にもこんなレトロなインテリアが大人気です。
 火鉢だけではありません。古い着物がたんすの中に眠っていませんか? 衣桁(いこう)なども物置に眠っていませんか? 衣桁に着物を掛けて応接間に飾ればいかがでしょうか? たくさんの着物があれば、季節やその日の気分によって取り換えてもいいでしょう。美しい着物の柄は、身に着けるだけでなく和のインテリアにもなります。
 おしゃれもインテリアも、たまには常識を忘れて自由な発想で冒険してみましょう。

 

熟年夫婦の過ごし方
2006年11月の記事
 団塊世代の定年が話題になっていますが、今まで会社人間だった夫が突然、朝から晩まで家に居れば、さまざまな問題を引き起こすのも当然(!)かもしれません。でも、会社勤めでなく定年もない職業の人も、子どもが大きくなって家に居なくなると、夫婦だけで顔を合わせる毎日が続くので事情は同じかも……。
 夫婦の危機に拍車を掛けるのは、二人とも家に居るとおしゃれをしなくなることです。朝から晩までパジャマ姿では百年の恋も冷めてしまいます。
 フランスでも同じ問題ですが、友人とのつき合いが夫婦単位なのは救われています。夫婦仲は共通する友人の数に比例するといえます。その上、同じ趣味を持つのがベストですが、無理強いすると逆効果になることもありますから要注意です。
 まず最もいけないのが、無理やりショッピング。女性と男性では見るものが違います。男性は、女性の好きなおしゃれ関係の買い物につき合うのが一番苦痛のようです。百貨店などでは「1時間後にここで待ち合わせね」と〈自由行動〉方式が良いようです。
 フランスでは市場(マルシェ)で熟年カップルが目立ちます。フランス男性は食べることが大好きですから、時間があるなら食材は自分で選びたいのです。なかには料理までしてくれる「優等生」もいます(笑)。
 私の日本の友人でも、定年まで料理などしたことがなかったのに、妻と市場に行って、買い物と料理が病みつきになった人もいます。グルメのご主人には試してみる価値はありますよ!

 

美しい生活は「もったいない」から
2006年10月の記事
  最近、日本の美徳として「もったいない」という言葉が見直されていますね。私も大好きな言葉です。
 現代の消費社会で、必要のないものに対して「もったいない」とストップをかけるのは人間の知恵であり、また地球環境を考えると、とても大切なことだと思います。毎日の生活を「もったいない」と見渡してみれば、私たちの生活はずいぶん不必要なものにあふれています。
 でも、「もったいない」からといって美しくないものとか、質の悪いものを我慢して使うことは本来の意味の美徳ではありません。
 年に一度ぐらいしか使わない来客用の食器などがキッチンの奥に眠っていませんか? 私は最近、大事に戸棚の奥にしまっていた来客用の漆や銀の食器、クリスタルのグラスなどを夫婦2人の夕食にもできるだけ使うようにしています。どんなに美しく高級なものでも、時々使わないと逆に「もったいない」のです。それに人生だって短いのですから!
 「もったいない」とは金銭的なケチではないのです。無駄を省いて、より快適で美的な生活を得ることだと思うのです。今や使い捨て時代、ものを大切に扱う心も失われてしまいました。小さいころ、母は私が子どもだからといって、安い食器をテーブルには並べませんでした。大人と同じ食器で「これは大事な食器だから丁寧に扱いなさい」と教えました。
 使い捨てのものを乱暴に扱うのではなく、価値のあるものを大事にする、そんな暮らしが人々の優しい心をはぐくむのではないかしら。衣服のおしゃれだけでなく、私たちの毎日の生活も美しくありたいものです。

 

遠くて近いパリ・コレクション
2006年9月の記事
  日本ではよく外来語を縮めてしまいますね。特に若い人。メールアドレスをメルアド、デジタル・カメラをデジカメ、そして、ドーナツやハンバーガーのチェーン店などの店名も……。ただ、シンプル好きの私でもパリ・コレクションまでパリコレと言うのはちょっと反対。なんだか安っぽくなってしまいますから。安っぽいというのは、それが高級ブランドの世界だからという気取った理由からではありません。パリ・コレクションは日本で伝えられている以上に、社会的に重要で文化的な意味の深いイベントだからです。
 フランスでは、日本よりファッションが「文化」として広く認められていることもありますが、コレクションの模様は連日、新聞で大きく取り上げられますし、テレビでもトップニュースです。もちろん、そこで紹介されているドレスを誰もが買えるわけでもなく、そのまままねするわけでもありません。ファッションが現代社会の鏡であり、そのコレクションから、自分のためにちょっとしたヒントをもらおうと、たくさんの人が関心を持つために話題になるのです。
 私は3月と10月、30年間欠かさずにパリ・コレクションを見てきました。ファッションを見ていると社会や文化が分かります。逆に、おしゃれを学ぶには社会と文化を知らなくてはなりません。流行を一つ取り入れれば、あとはシンプルでも安心。そんな目で一度、雑誌などのパリ・コレクションを見てください。きっと素敵なヒントが見つかるかも? では、パリコレへ、いやパリ・コレクションへ行ってきま〜す。

 

小さなぜいたく、カシミヤ・ショール
2006年8月の記事
  猫好きな人はよく知っているのですが、猫はとてもぜいたく。といってもキャビアを食べたり、ダイヤの首飾りを着けるわけではありません。猫が好きなのは、小さなぜいたくなのです。夏は家中で一番涼しい所に陣取り、冬には一番暖かい所。しかもベッドに衣類などを投げ出しておくと、猫が選ぶのはカシミヤなど自然素材の高級品!
 若いころはいろいろなことにチャレンジしたくて、あんなおしゃれ! こんなおしゃれ!と欲張りです。でも、ある程度いろいろな経験もしてアプレカランタン(40過ぎ)の大人になると、遊びや見栄えばかりでなく、心地良さということも大切。だって、一度きりの人生ですもの。
 「ぜいたく」というと、お金持ちだけの特権とか、反道徳的なことと考えていませんか?
 最近、私はお茶やコーヒーやコショウなどを近所のスーパーで買わず、ちょっと高くても大好きなメーカーの商品を取り寄せています。その代わり、身の回りの無駄遣いを少なくすれば、たくさんの小さなぜいたくができます。
 カシミヤのショールもその一つ。カシミヤの魅力は保温性や通気性、軽さにありますが、何よりもぜいたくなのは肌触り。そして、ひざや肩にも掛けられるおしゃれの必需品。特に日中でも肌寒くなる秋のファッションには欠かせません。
 もう一つ。急なお出掛けどきにも、カシミヤを一枚肩に掛けるだけで、普段着からドレッシーな装いに一秒で変身もできます。
 でも、家に猫がいる方はご注意ください。帰ってきたら、すぐに片づけないと猫にカシミヤを取られてしまいますよ!

 

アプレカランタン〜40歳を過ぎたら〜
2006年7月の記事
  アプレカランタン……ちょっと聞き慣れないフランス語ですが、アプレは「後」、カランタンは「40歳」。つまり40歳以降のことをいいます。
 日本では儒教の伝統のせいか、年齢をとても気にしますね。私の夫(日本人)も私がちょっと派手なおしゃれをすると、「いい歳をして!」とからかいます。これは夫婦間の冗談ですが、他人から「おいくつになられたの?」なんてストレートに聞かれると、別に隠すわけではないのですが、ちょっと不愉快。私がフランス人だからという理由だけでなく、誰だって大人の女性は自分の年齢を声高に言いたくはないものですよね。
 先日、ある若い女性が「私、もうミソジだからダメ」と言うので、ミソジとは結婚してぬかみそ臭くなった意味かと思ったら、30歳になったことですって(笑)。30歳でダメなんてびっくりしました。フランス女性なら、これから大人のおしゃれができると張り切る年齢です。
 そして40歳になると、「私、もうオバサンだから」と言い、50歳を過ぎると「もう、おばあちゃん」、60歳や70歳を過ぎると、おしゃれも恋もあきらめて老後……。でも、実は心のなかで、皆さんそうは思っていないのです。女性同士で話をすると、日本女性もフランス女性と一緒で、いくつになってもオンナ。おしゃれもしたいし、恋もしたい! 特に現代の60歳や70歳といったら、まだまだ心はツイストを踊っている気分。年齢でおしゃれ(=人生)をあきらめてはダメ。とはいっても、若いころのおしゃれと大人のおしゃれは違います。最近、そんなアドバイスを本に書きました。
 素敵なおしゃれができれば、年を重ねることが楽しくなりますよ!

 

何もない癒やしの旅
2006年6月の記事
  先日、石川県の能登を訪れたとき、友人の紹介で、知る人ぞ知る人気の旅館に泊まりました。予約の段階で「部屋にはテレビも電話もありませんし、サービスもありませんが、ゆっくりしていってください」と言われてびっくりしましたが、うわさ通り食事はおいしくて、本当にゆっくりできました。
 最近、カラオケからゲームコーナーまで、何でもそろった至れり尽くせりの大型旅館が苦戦しているようです。逆に繁盛しているのが、数組しか泊まれなくて、静かで過剰なサービスのないところ。
 昔、パリの高級ホテルには部屋にテレビがありませんでした。というのも「せっかくの旅に来て、部屋でテレビを見るようなお客さまは当ホテルにはいない」という考えで、テレビがないことがホテルのステータスだったのです。
 また、フランスのリゾート企業で「地中海クラブ」というのがありますが、ここの宿泊施設は部屋にテレビも電話もありませんでした。最近では世界のお客さまの要望もあり、部屋にはテレビも電話もありますが……。
 現代は「便利」の時代。どこでも電話は通じますし、どこでもインターネットが使えます。でも「便利」とは、日常生活のストレスから逃げられないということでもあります。
 前述の能登の宿は街から離れ、電波が弱くて携帯電話も入りません! 夫婦で営む宿ですので、布団の出し入れや食事時間を何度も聞きに来るスタッフもいません。とても「不便」ですが、あきらめてしまえば、とても心が落ち着きます。
 以前は旅館に入ると、赤じゅうたんの横にずらりと何十人もスタッフが並んでお迎えするのがサービスでした。でも、これでは旅先で気疲れしてしまいますよね。

 

シンプルライフのバカンス
2006年5月の記事
  バカンスというと、別荘や海外のリゾート地に行くイメージがありますが、そんなぜいたくなバカンスを楽しめるのは、実際にはフランスでもごく一部の人だけです。確かに休暇は1カ月、多い人は2カ月も取れるのですから、日本よりも恵まれているようですが、これも実際には企業のオーナーや自営業、農家の方などには当てはまりません。
 日本と同じで、多くの人が親類や友人を訪ねて田舎に行きます。日本では田舎という言葉に抵抗のある方もいるようですが、フランスの田舎(カンパーニュ)は褒め言葉で、地方の人はその場所に誇りを持ち、パリやリヨンなど大都会に住む人もあこがれる存在です。フランス人にとって人生の夢は、定年退職後の田舎暮らし。日本でも、そんな考え方の人が増えてきていますね。
 私も小さいころには、親類のいるピレネー地方やブルターニュ地方でバカンスを過ごした思い出がたくさんあります。
 また、別荘といっても、古い農家を買い取って自分の手で改装するケースが多く、日本で考えているような豪華な建物ではありません。
 バカンスという言葉の語源は「何もない」ということ。観光に走り回るのではなく、美しい田舎で何もしないでゆっくりすることこそ、バカンスなのです。
 最近、フランスの田舎でも、子どもは自分の部屋に閉じこもり、テレビゲームに夢中というファミリーが増えています。バカンスは、そんな子どもたちに自然の楽しさを教える大切な機会です。今から準備して、この夏、子どもたちを呼んで田舎体験をさせてみませんか?

 

ワードローブのコレステロール退治から
2006年4月の記事
 人生も後半を迎えると、時間もスペースも貴重になってきます。散らかした部屋で、片づけに追われる生活にさようなら。おしゃれの失敗にもさようなら。これからはシンプルな人生を楽しみたいものです。  まず、ワードローブ(持ち服)をシンプルにしましょう。買ったり、もらったりしたけど、ほとんど着ない衣類がたまっていませんか?  1年に一度も着ないような服は思い切って手放すこと。それから、残ったワードローブのすべてを小物やアクセサリーと一緒に全部、部屋中に並べてみましょう。   全体を見て何色が多いでしょう? 多くある色があなたの基調色です。私の場合は黒なのですが、もし、黒かほかの色か?と迷うときは黒にしてください。黒は最もコーディネートしやすい色ですから。あとはグレーとかベージュとか。  基調色が決まれば、その色と合う色をキープします。黒なら、赤などの派手な色とも相性がいいものです。基調色をベースにアクセサリーまで含めて、いくつかおしゃれのパターンを作ります。実際に着たり、床に並べたりして試してください。  これは、実は若い人にはできない作業。今までの失敗や経験を生かして、これはダメ、こうすれば使える……。時間はかかりますが、楽しい作業です。そして、残った服やアクセサリー、それがワードローブのコレステロール。このとき「もったいない」は禁句。どうしても捨てられないなら人に差し上げるか、近所の福祉団体に相談してみてください。  こうしておけば、お出掛けのおしゃれに迷いませんし、無駄な買い物をしなくて済みます。「シンプルにする」とは「おしゃれをあきらめること」ではありません。時間とスペースを節約して、もっとおしゃれに!