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不眠への対処法
2008年7月の記事
不眠のタイプには、大きく分けて四つあります。
寝つくまで30〜60分以上かかる「入眠障害」、眠りについたあと、夜中に何度も目が覚めてしまう「中途覚せい」、早朝に目が覚めて、それ以後は眠れない「早朝覚せい」、睡眠時間は十分だが、眠りが浅く、ぐっすり眠ったという満足感が得られない「熟眠障害」です。
中途覚せいには、特にストレスが関係しています。それを解消するには、まず遅寝・早起きが勧められます。床に入る時刻を遅らせて、朝起きる時刻を早くするのです。寝床にいる時間は短くなりますが、中途覚せいが減るため、熟睡感が得られるようになります。
コーヒーや紅茶、日本茶などに含まれるカフェインには、覚せい作用と利尿作用があります。眠る前に飲むと寝つきが悪くなり、夜中にトイレに行きたくなったりして、眠りが妨げられます。寝酒は寝つきを良くしますが、飲み過ぎると中途覚せいや早朝覚せいが多くなります。また、たばこに含まれるニコチンは、交感神経の働きを活発にし、眠れなくなりますので、眠る前の一服は禁物です。
体温のメリハリをつけると、眠気を生じやすくなります。そのためには、眠る30〜60分前に、39〜40度のぬるめのお湯に入るのが効果的です。入浴で体を温めたあとは、体温が下がるので眠気を誘います。
不眠の背景には、過労やストレスだけでなく、うつ病などほかの病気が隠れていることもあります。不眠が続き、本人がつらいと感じているときは、精神科や心療内科を受診するようにしてください。
鉄欠乏性貧血を防ぐ
2008年6月の記事
貧血は、多くの人が経験する身近な病気です。その中で最も多いのが鉄欠乏性貧血です。
鉄欠乏性貧血とは、血液の材料である鉄が不足して起こる貧血のことです。特に女性に多く見られますが、中高年の男性にもよく見られます。
鉄は体内で作ることができないため、食べ物から鉄分として取る必要があります。しかし取る量に対して、失われる量が多い状態が続くと、鉄が不足して鉄欠乏性貧血になります。
鉄不足の原因としては、次の三つが挙げられます。
一つ目は摂取不足で、偏った食事や極端なダイエットなどが続いた場合です。また、胃や腸の手術を受けた人は、鉄分の吸収が悪くなり、鉄が不足することがあります。
二つ目は、鉄の消費量が増加する場合です。成長期や妊娠・授乳中などには、体内で使われる鉄が非常に多くなります。
三つ目は、慢性的な出血です。「胃や大腸のかいよう、ポリープ、痔(ぢ)、がん」などの病気で、出血が続くと鉄が不足します。中高年の男性の多くは、このタイプです。女性では「月経」も原因になります。
鉄欠乏性貧血の予防で最も大切なのは食事です。食物に含まれる鉄分には、レバーや赤身の肉、赤身の魚などに多く含まれる「ヘム鉄」と小松菜や大豆製品、ヒジキなどに多く含まれる「非ヘム鉄」の2種類があります。ヘム鉄の方が吸収が良いのですが、どちらかに偏らず、さまざまな食品から過不足なく取ることが大切です。
また、鉄分とともにビタミンCを取ると吸収が良くなります。レモンやブロッコリーなどのビタミンCの多い食品を一緒に取りましょう。
腎臓病を早く見つける
2008年5月の記事
腎臓は、異常が起きても、なかなか症状には現れません。従って腎臓は「沈黙の臓器」といわれます。しかし、症状がないからといって放置しておくと、気づいたときには腎臓の機能がほとんど失われて、生命に危険が及ぶこともしばしばあります。
腎臓の異常は自分では気づきにくいのですが、多くの場合、腎臓は何らかの危険信号を発しています。そのサインをいち早くキャッチして、見逃さないようにすることが大切です。
腎臓病のサインの第一は「尿」です。健康な尿の色は黄褐色ですが、これが赤褐色になると、尿の通り道に出血があることを示しています。腎炎、腎結石、腎臓がんなどの疑いが出てきます。しかし、ごくわずかの出血は、肉眼では分からず、顕微鏡で見て初めて確認できます。
白く濁った尿は、細菌感染が起こり、膿(うみ)が混じっている疑いがあります。腎盂(じんう)腎炎やぼうこう炎などで起こります。また泡立ちが多く、なかなか消えない場合は、タンパク質が尿に漏れ出している可能性があります。これをタンパク尿といい、血尿が同時に出ている場合は腎炎が疑われます。
サインの第二は、「むくみ」です。むくみは腎臓の働きが落ちているしるしです。むくみは特に顔に起こりやすく、「まぶたの周りが腫れぼったい」「小じわが消えた」などから気づくことがあります。また脚や手がむくむこともあります。この場合、「靴下の跡が残る」「靴が履きにくい」「指輪がきつくなる」などがサインとなります。むくみが生じると、体重が増えて尿量が減ります。体重の変化に気をつけることも大切です。
若年性アルツハイマー病に注意
2008年4月の記事
お年寄りの認知症には、脳の神経細胞が次第に減少して、脳が委縮してくるアルツハイマー病というのがあります。一般的には70代になると、若いときと比べて脳が5〜10%軽くなるといわれています。こうした脳委縮による認知症は70歳以上に多いことから、「老年認知症」と呼ばれています。
また年を取るにつれて、脳の動脈硬化が原因で起こる認知症もあります。このような事例からも、認知症はお年寄りだけの病気と思っている人が多いかもしれません。
しかし若い人にも起こるのです。年齢的には65歳以前に発病するアルツハイマー病のことを「若年性アルツハイマー病」と呼んでいます。これは40代でも50代でも発病します。
「若年性アルツハイマー病」は、お年寄りの認知症に比べて進行が早く、発見が遅れやすい特徴があります。
最初に現れる症状としては、会社勤めをしている人であれば、得意先との約束を忘れる、計算ミスがひどくなる、報告書が書けない、人づき合いがゴタゴタしてしまう、といったことが起こります。
主婦の場合は、献立を立てられなくなる、同じ献立を繰り返す、というのも代表的な症状です。
お年寄りにこうした症状が見られると、認知症かもしれないとすぐ気づきます。しかし40〜50代という若さでは、アルツハイマー病とは考えにくいものです。そのために受診が遅れ、治療も遅れてしまうのです。
40〜50代で、以上のような症状が見られたら、または日常生活でどうもおかしいという点が見られたら、まず最初に認知症の専門医の診察を受けてください。「若年性アルツハイマー病」かどうか、診断してもらうことが大切です。それが早期治療の近道となります。
骨粗しょう症を防ぐ
2008年3月の記事
「骨粗しょう症」とは、骨がもろくなる病気です。骨の成分であるカルシウムが少なくなり、骨の中がスカスカになってしまうのが原因です。従って、骨粗しょう症の人の骨は大変もろく、ちょっと転んだだけで骨折してしまうことがあります。
骨粗しょう症は圧倒的に女性に多く、しかも年齢が上がるにつれて増えていきます。これは、女性ホルモンの減少が関係しているといわれます。初期の段階ではあまり症状がありませんが、進んでくると腰や背中の痛み、背中が丸くなる、背が低くなるなどの症状が出てきます。このような症状が出たときは、整形外科で受診して骨の超音波検査やエックス線検査を受ける必要があるでしょう。
骨粗しょう症をできるだけ予防するには、日ごろの食事と運動が重要になってきます。特にカルシウムは体内で作ることができないため、食事で取るしかありません。最も良いのは牛乳や乳製品で、70歳代の女性で牛乳を毎日飲む習慣のある人は、牛乳をあまり飲まない人よりも骨が強いという調査結果があります。そのほか、豆類や小魚、ワカメなどの海産物などを食べるのもおすすめです。
もう一つは運動です。骨に圧力がかかる運動がいいのですが、お年寄りではウオーキングや水中ウオーキングなどが適しています。週に2〜3回、1回30分〜1時間程度続けます。またゲートボールなども効果的です。
特別に運動しなくても、掃除などの家事や庭仕事、買い物に行くなど、日常生活の中で積極的に体を動かすと、自然と骨に負荷がかかり、運動したのと同じような効果が得られます。
便秘解消法
2008年2月の記事
最近、便秘で悩む人が増えているようです。一番多いのは、直腸型便秘(習慣性便秘)といわれるもので、直腸内に流入した便を排出できないでいる状態です。それを解消するには、次のような点に気を付けてください。
(1)朝食をしっかり食べる
胃の中に食べ物が入ると「胃・結腸反射」というものが起き、腸に信号が送られて腸が活動を始めます。この反射を逃すと便意が遠のいてしまいます。
(2)食物繊維を多く取る
野菜、芋、海藻、豆類、きのこ類は毎日食べたいもの。そのためには、朝食にはパン食よりも日本食であるご飯とみそ汁が有効です。野菜は生よりも、ゆでたりいためたりした方が、たくさん摂取できます。
食物繊維は胃では消化されずに、そのまま大腸へと送られます。そして大腸で水分を吸収して便の量を増やすとともに、適度な軟らかさを保って排せつしやすい便をつくります。
(3)水分を十分に取る
朝起きたときに水や牛乳をコップ1杯飲むと、胃や大腸が刺激されて動きが活発になり、排便が促されます。
(4)便意を我慢しない
便意を感じてもゆっくりトイレに行く時間が取れず、つい我慢してしまうことがあります。これを繰り返していると便意が起こらなくなり、便秘になります。便意がなくても、朝食後にはトイレへ行くようにし、排便の習慣をつけることが大切です。
(5)適度な運動をして排便に必要な筋肉を鍛える
運動不足になると腹筋が弱まり、便を外へ押し出す力が弱くなるので注意しましょう。
ノロウイルスに注意
2008年1月の記事
佐久総合病院名誉院長●松島松翠
最近、ノロウイルスによる食中毒が、世界各地で多数報告されています。ノロウイルスは冬になって活発化するウイルスで、主に食品や水から感染します。
ノロウイルスに感染すると、1〜2日後に激しい腹痛や嘔吐(おうと)、下痢を起こします。つまり食中毒の症状が出ます。時には、頭痛、発熱、咽頭(いんとう)痛など、風邪と似た症状を起こすこともあります。症状が比較的軽い場合もありますが、その感染力は強大です。
ノロウイルスは、二枚貝の内臓に蓄積されることが多く、カキ、シジミ、ホタテなどからノロウイルスが検出されています。
一番多い中毒としては、「生カキ」が挙げられます。冬場においしいので食べる人が多いのですが、生カキは避けた方が無難です。もちろん煮て食べれば問題ありません。カキフライにするときも、十分加熱することが必要でしょう。また、カキを調理したまな板、包丁、ふきんなどにウイルスがついていることもありますので、熱湯で十分消毒することが重要です。
ノロウイルスは、食べ物からだけでなく、ウイルスで汚染した手などを通しても、人から人へと感染が広がります。従って予防の第一は、外から帰ったときやトイレのあと、調理・食事の前には、石けんと流水で手をよく洗うことです。下痢の症状があるときは、他人とタオルなどを共有しないことが大切です。
特に抵抗力の弱いお年寄りや乳幼児などが感染した場合は、重症化しやすいので十分注意しましょう。
旅行者下痢症を防ぐ
2007年12月の記事
海外へ出掛ける日本人は、年々増加する傾向にあります。海外旅行中の症状として、最も多く見られるのが「下痢」で、旅行者の30〜50%が経験しているといわれます。これを「旅行者下痢症」と呼んでいます。
主に、東南アジアや南アジア、アフリカなどの熱帯や亜熱帯地域に旅行した場合に起こりやすいといわれます。病原体で多いのは、日本でも食中毒の原因になる大腸菌やサルモネラ菌で、そのほかに数は少ないのですが赤痢菌やコレラ菌もあります。いずれも旅行先での水、食べ物を介して経口感染したものと考えられます。
予防上の注意としては、旅行中には生水、生もの、生野菜には手を出さないということです。水道水も飲まず、水はきちんと瓶に入ったミネラルウオーターにします。うっかり飲んでしまいがちなのが、ウイスキーの水割りやジュースなどに入っている氷です。あらかじめ氷は要らないと告げて、入れないようにしてもらい、ウイスキーもできれば瓶ごと頼んで、自分で栓を抜くぐらいの注意が必要です。
生の野菜は洗ってあっても、その洗う水自体が汚染されている可能性があります。従って、生野菜を使ったサラダを食べるのは避けた方が無難です。また果物も自分で皮をむいて食べるのは構いませんが、すでに皮をむいてあるものには手を出さないことです。
屋台などの食べ物は、食べ物自体には火が通っていても、器に雑菌がついていることがあります。生の魚介類や生肉には細菌や原虫がいたり、ウイルスがついていることがありますので、手を出さない方がいいでしょう。
痛風を防ぐには
2007年11月の記事
痛風の特徴は、ある日突然、関節に激しい痛みが起こることです。これを「痛風発作」といいますが、結晶化して関節にたまった尿酸が、何らかの拍子にはがれたときに起きます。この原因は、食べ過ぎや運動不足によって血液中の尿酸が増える高尿酸血です。
この痛みの発作も苦痛ですが、高尿酸血を放置していると腎臓の働きが弱り、腎障害を引き起こしたり、同じような生活習慣が要因となる高血圧、高脂血症、心筋梗塞(こうそく)にもかかりやすくなるのが心配です。
高尿酸血を減らし、痛風をはじめ生活習慣病を予防するためには、次のことに注意しましょう。
・食事の総エネルギー量を減らす
体重と尿酸値には深い相関関係があります。肥満の人が体重を減らすと、尿酸の排せつが良くなり、尿酸値が下がることが分かっています。
・アルコール摂取を減らす
ビールがよくないことは知られていますが、酒の種類よりはアルコール全体の取り過ぎが問題です。
・水を十分に取る
体内の尿酸は、腎臓を経て尿中に排せつされます。水分をたくさん取り、尿量を増やせば、それだけ多くの尿酸が排せつされることになります。
・ゆっくりと有酸素運動をする
運動は「のんびり、ゆっくり」がポイントです。ウオーキングや軽いジョギング、ゆったりしたペースでの水泳やサイクリングなどの有酸素運動が適しています。
・静かにストレス解消を図る
ストレスは尿酸値を上げます。ストレス解消といっても、激しいスポーツは逆効果。読書や音楽鑑賞といった体を酷使しない方法で、上手に解消してください。
サプリメントとは
2007年10月の記事
あなたは、サプリメントという言葉を聞いたことがありますか。体に良いとされる栄養素や成分を食品から抽出・濃縮して、粉末やカプセル、錠剤、液体などにしたものをいいます。
今日の日本は「サプリメント天国」といわれるように、スーパーマーケットなどでは、多種多様のサプリメント製品が棚を埋め、雑誌やテレビなどでも大々的に宣伝されています。しかし、サプリメントは決して病気の治療目的の薬ではないことにも注意しておく必要があります。そもそもサプリメントとは「補助」とか「補充」の意味で、あくまでも栄養の基本は三度の食事にあるものなのです。
最近行われたあるアンケート調査では、「三度の食事をしっかり取らないことによる栄養不足を、サプリメントで補給している」という実態が明らかになっています。これは残念ながら明らかに間違った利用法だといわざるを得ません。大切な食事を抜いて、サプリメントに頼るというのは、本末転倒ということになります。
健康長寿のためには、個々の食品や栄養素を重視する「単品栄養主義」でなく、以前からいわれているように、やはり1日30品目の摂取を目指して、好き嫌いなく、特定の食品にも偏らず、いろいろな食品を満遍なく、バランス良く取ることが望まれます。
それに、サプリメントの中には、副作用があるものもあります。実際、このサプリメントに関するトラブルも急増しています。派手なダイエット効果をうたった中国製品を取った日本人が死亡した事故は、まだ記憶に新しいものがあります。
お年寄りの転倒予防
2007年9月の記事
お年寄りが、日常生活で最も注意しなければならないのは転倒です。転倒すると、太もものつけ根の骨折を起こすことが多いからです。
しかし、転倒を心配するあまり外出を控えていると、ますます足腰が弱ってしまいます。利用できるものを上手に利用して、積極的に外出し、生活を楽しむようにしましょう。
まず足腰が衰えて外出に不安を感じる場合は、つえやシルバーカーの利用がすすめられます。つえがあると、体のバランスを取りやすく、歩きやすくなります。また、車輪や取っ手のついたシルバーカーを使うと、体を支えることができて歩きやすくなる上、荷物を入れることもできます。
長いスカートをはいていると、すそを踏んだり足に絡まって転倒することがあります。少し短めのスラックスなど、歩きやすい服装を選んでください。
外出するときは、手に提げるバッグではなく、リュックなど両手が自由になるものを使い、両手を空けておいた方が安全です。手すりがある場所では、つかまるか、手すりのそばを歩きましょう。
靴の選び方も大切です。まず軽くて安定性があること、足のサイズや形に合っていることです。また浅い靴よりもやや深めで、足全体を包み込む靴の方が、安定性があります。靴底は平らに近く、かかとが低いこと、滑り止め加工が施されているものを選びます。
歩き方も注意が必要で、お年寄りはつま先が上がらず、すり足で小さい歩幅で歩きますが、すり足で歩くと、ちょっとした段差につまずきやすくなり、転びやすくなります。ある程度歩幅を取って、つま先を上げて歩く練習をしてください。
新しいがんの検査法PET
2007年8月の記事
「PET」(ペット)という検査法が、最近がんの検査に使われるようになり、早期がんの発見や、がんの鑑別診断に役立っています。PET検査の特徴は、「全身のさまざまながんを、1回で楽に検査できる」という点にあります。
やり方は、検査の前に、弱い放射線を出す物質を付加した特別なブドウ糖を注射します。全身にそれが行き届いたところで、検査台に横になり、一度に全身の画像撮影をします。検査時間は約30分です。
PETでは、全身を一度に撮影できて、6〜7mm程度の小さながんも見つけやすいので、人間ドックなどの健康診断に役立ちます。しかし、すべてのがんが見つけやすいわけではありません。見つけやすいがんとしては甲状腺、肺、乳腺、大腸などのがんがあります。一方、見つけにくいがんは胃、肝細胞、前立腺、腎臓、膀胱(ぼうこう)などです。
またPETは、精密検査として次のような場合に有効です。通常のX線検査では、良性腫瘍(しゅよう)かがんかの判断が難しい場合、以前がんの手術を受けたり化学療法などの治療を受けた人が、再発していないかどうかを調べる場合、遠くの臓器に転移していないかどうかを調べる場合、抗がん剤や放射線療法による治療の効果を診る場合――などです。
費用は、健康診断では自己負担となりますので、医療機関によって多少異なりますが、約8万〜10万円かかります。しかし、前述のがん治療にとって必要な検査の場合は、健康保険の適用になります。PETで用いる放射性を持ったブドウ糖は、長くても1日で体外に出てしまうので、被ばくによる影響はほとんどありません。
女性の尿漏れ
2007年7月の記事
せきやくしゃみをしたとき、大笑いしたとき、走ったとき、重いものを持ち上げたとき、スポーツをしているときなどに、尿漏れを起こしたという方はいませんか。これは力がおなかにかかったときに尿漏れを起こすもので、「腹圧性尿失禁」と呼ばれています。女性の尿漏れの中で最も多いものです。
なぜ起こるかというと、ぼうこうや尿道、子宮などを下から支えている「骨盤底筋」という筋肉の集まりが、妊娠や出産、加齢などで緩んでくるためです。
治療には、骨盤底筋の筋力を強める骨盤底筋体操というものがあります。膣(ちつ)や肛門(こうもん)の筋肉を10秒ほどキュッと引き締めたら、パッと緩めて数十秒リラックスします。これを10回繰り返すのを1クールとして、毎日5クール行います。
もう一つの尿漏れに、「切迫性尿失禁」というのがあります。急に強い尿意が起こって、トイレに行くのが間に合わなかったり、トイレで下着を下ろしている最中に尿が出たり、また冷たい水に触れたときに、反射的に尿意が起こり、尿漏れを起こすというものです。これはぼうこうが過敏になり、少し尿がたまったり、ちょっとした刺激を受けただけで急にぼうこうが反応して収縮し、強い尿意が起こり、我慢できずに尿が漏れてしまうのです。
治療には、ぼうこう訓練というのがあります。トイレに行きたくても15〜30分我慢して、排尿の間隔を空けるようにします。実際にはぼうこうがまだ尿でいっぱいになっているわけではありませんので、焦らずに我慢していると、収縮していたぼうこうも緊張が緩み、尿意切迫感も落ち着いてきます。また先ほどの骨盤底筋体操も効果があることが分かっています。
夏の脳梗塞を防ぐ
2007年6月の記事
「脳卒中は冬に多い」といわれますが、脳梗塞(こうそく)に限ると夏の発生数が多くなっています。脳梗塞は脳の血管が詰まって起こる病気ですが、夏に詰まることが多いためです。
なぜかというと、まず脱水による体内の水分不足が挙げられます。気温や湿度が高いと汗をたくさんかくので、体が脱水状態になって血流が悪くなり、血栓ができやすくなるのです。
また、夏の脳梗塞は夜間に多く発生します。これは就寝中に脱水が起こりやすいことや、夜間は血圧が下がることと関係しています。
予防策としては、脱水状態にならないように、小まめに水分を取ることです。夏は食欲が落ちて、食べ物から摂取する水分も減りやすい傾向にあります。さらにお年寄りは脱水状態になっても、のどの渇きを感じにくくなっています。従って定期的に水分を補給するようにした方が安全です。アルコールは利尿作用があるため、脱水がひどくなります。寝る前に大量の酒を飲むのは危険です。
夜間にトイレに起きないようにするため、寝る前に水分を取るのを我慢する人がいますが、これはかえって危険です。睡眠中は汗をかく上、水分が取れないので脱水が進みます。夜間の脳梗塞発作を予防するには、寝る前にコップ1杯の水かお湯を飲み、夜間にトイレに起きたらその際に1杯、朝起きたら1杯(1杯飲むのが難しい場合はコップ半分)というように水分を補給するのがいいでしょう。
風邪などの感染症を起こすと、血液が固まりやすくなり、脳梗塞が起こりやすくなります。夏風邪を防ぐことも脳梗塞の予防策の一つです。
不妊の原因
2007年5月の記事
妊娠を希望する男女が2年以上性生活を行っても妊娠しない状態を不妊症といいます。10組に1組の夫婦は不妊といわれています。不妊の原因は多くの場合、女性にあると考えられがちですが、そうとは限りません。統計によると、不妊の約半数に男性が関与しています。
男性側の不妊の原因の60%は、精巣(こう丸)で作る精子の数が少なかったり、精子に元気がないことによります。
健康な男子の精子数は、1ml中に1億〜2億匹で、そのうち70〜80%の精子が元気にしっぽを振って前進運動をしています。精子数が2000万以下、または運動率が30%以下の場合は不妊の原因になり、治療が必要になります。
女性の場合は、ホルモンの障害で卵子が成熟しなかったり、卵巣表面の癒着(腹部の手術や子宮内膜症などが原因)により排卵ができない場合があります。
また卵管の周囲に炎症が起こり、卵管が癒着したり、詰まってしまって、卵子を取り込めないことがあります。炎症の原因としては、子宮内膜症、性感染症、卵管炎、さまざまな手術の後遺症などがあります。
不妊を治療するには、まず不妊の原因をしっかりと確かめなければなりません。それには、男女双方がきちんと産婦人科で検査を受けることが大切です。まず男性が最初に検査を受けてください。
というのは、男性の検査は比較的簡単で、痛みもありませんが、女性が受ける検査は長期間かかったり、痛みを伴う検査もあって、負担が大きいからです。男性が先に受けた方が、女性の心理的負担が軽くなります。
増えてきた子どもの肥満
2007年4月の記事
子どもの肥満が最近増えています。全国の6〜14歳の男児のうち、約10人に1人が肥満という結果が出ています。
最近は、肥満のために、大人と同様、高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病を患い、治療を受けている子どもも増えています。その上、子どもの肥満は、大人の生活習慣病の予備軍といわれ、肥満の子どもの10人のうち8人は大人に引き継がれます。今のうちに肥満を治しておくことが、大人になってからの生活習慣病を防ぐために大切です。
肥満を解消するには、食事と運動が大切ですが、食事といっても極端に食事制限するのではなく、エネルギーになるご飯などの炭水化物や、体の調子を整える野菜などは毎日食べること、週に1〜2回程度は子どもの好きな食べ物も取り入れて、メリハリをつけること、動物脂肪が多く、少量でもエネルギーが高い甘いおやつやファストフードはなるべく控えることなどです。
親が食べたいものを食べたいだけ食べていれば、子どもだって我慢はできません。親と子どもがお互いに励まし合い、協力し合って、健康に良い食べ物の選び方を覚えていくことが大切です。
また運動といっても、すぐ駆けっこをするというのではありません。まず日常生活の中で、食事のあと片づけなど、自分のことは自分でさせるようにします。そして、掃除、洗濯、買い物など、家の手伝いを通じて体を動かすようにしていきます。そのうち、子どもが好きな運動を見つけて、運動クラブなどに参加していくのもよいでしょう。
クラミジア感染にご注意
2007年3月の記事
最近、10代の女性に、クラミジアの感染が広がっています。クラミジアは、正確には「性器クラミジア感染症」といって、日本で最も多い性感染症(性病)の一つです。
10代に多いのは、初交年齢が低下しており、10代のうちから多数の相手と性行為を持つ傾向があることと、この病気についての正しい知識がないためです。現在の日本では、約100万人が感染しています。
クラミジアに感染すると、男性の場合、尿道炎が起こります。しかし、症状は軽く、分泌物が出る程度で、それも数日で消えるため多くの人が感染に気づきません。
女性の場合も、目立つ症状はありません。感染初期に下腹痛、性交痛、おりものの増加が現れることがありますが、放置する人がほとんどです。このため男性も女性も、「自分が感染源である」という自覚がないまま、相手にうつし、感染が拡大していきます。
クラミジアに感染すると、女性の場合、子宮、卵管、卵巣、骨盤腹膜などに感染が広がっていきます。炎症を起こすと、あとで卵管狭窄(きょうさく)を起こし、将来、不妊の原因になります。男性の場合も、感染が体の奥に広がって精巣上体炎を起こし、精子を作れなくなり、男性不妊になります。
予防には、性交渉のときにコンドームを必ず使うことです。不特定多数と性交渉のある場合は、症状がなくても半年に1回検査を受けることが、早期発見につながります。感染が分かったら、パートナーと一緒に治療を行います。自分が治っても、パートナーが感染していれば、再び感染するからです。
お年寄りのひざの痛み
2007年2月の記事
高齢になると、ひざの痛みを訴える人が多いものです。ひざが痛くなる原因はいろいろありますが、お年寄りに最も多いのが「変形性ひざ関節症」です。これはひざ関節の軟骨がすり減る病気で、一種の老化現象といえます。
症状の特徴は、「ひざの痛み」と「ひざに水がたまる」ことです。初期のうちは朝起きて歩きだしたときや、長い時間座っていた姿勢から立ち上がって歩き始めたとき、あるいは階段を下りるときなどに、痛みを感じます。ひざに水がたまると、ひざがはれてきたりします。
ひどくなると、足を真っすぐに伸ばそうとしても伸ばせなくなります。ひざの曲げ伸ばしができなくなったり、歩行や階段の上り下りも不自由になります。夜眠っていてもひざに負担がかかり、痛みで目を覚ますこともあります。
このような症状があったら、早めに整形外科で診てもらうことをおすすめしますが、日常生活で痛みを取り除く方法を以下で紹介します。
一つは、ひざを支える太ももの筋肉、大腿(だいたい)四頭筋を鍛えることです。年を取ってこの筋肉が弱くなることが、ひざの負担を増し、痛みを起こすからです。
やり方は、いすに腰掛けて、片方の足をひざが真っすぐになるまで水平に上げます。上げたまま10数えたら静かに下ろし、今度は反対の足で同様に行います。左右10回ずつ繰り返し、1日2回行います。
もう一つは、肥満がある人は減量することです。体重を1kg減らすと、片ひざにかかる負担が3〜5kg減ります。歩行中、片ひざには自分の体重の3〜4倍もの負担がかかると言われていますので、減量は有効な手段となり得ます。
メタボリックシンドロームとは
2007年1月の記事
最近、メタボリックシンドロームという言葉がよく使われています。動脈硬化を進行させる、いくつかの危険因子の集まりをいうのですが、一つひとつの危険因子は程度が軽くても、それらが重なることによって危険度が増し、やがて狭心症や心筋梗塞(こうそく)、脳梗塞などの重大な病気を引き起こすということで、最近注目されているのです。
その危険因子とは、「肥満」「高脂血症」「高血糖」「高血圧」の四つです。それぞれ診断基準が決められています。
この中で最も基準となるのが「肥満」です。肥満はへその高さの腹囲で測ります。その基準は、男性85cm以上、女性90cm以上で、それに該当すれば内臓脂肪型肥満と判定されます。
それに加えて、次の三つのうち、二つ以上の項目に当てはまると、メタボリックシンドロームと診断されます。
その三つとは、@血中脂質として中性脂肪150mg/dl以上またはHDLコレステロール40mg/dl未満A空腹時血糖111mg/dl以上B血圧が最大130mmHg以上または最小85mmHg以上。
これは一般の診断基準よりかなり厳しく、それぞれ一つひとつは軽度の異常で、従来はあまり注意されなかったものですが、これらが重なると重大な病気の危険が出てくるというわけです。
メタボリックシンドロームと診断されたら、まずは肥満を治すこと、つまり内臓脂肪を減らすことが第一です。その上で、三つの項目で該当したものを改善するために、日常生活に注意することを心掛けてください。
脳卒中の前触れ
2006年12月の記事
一般に、脳卒中は突然起こると考えられています。しかし、脳卒中を起こした患者さんによく話を聞いてみると、そのほとんどの場合に前触れとなる、何らかの神経症状が起きていることが分かってきました。
脳卒中は、脳の血管が詰まって血液の循環障害が起こる脳梗塞(こうそく)と、血管が破れて出血する脳出血との二つに大別できますが、前触れの症状が見られるのは、主に前者の脳梗塞の方です。
その症状は人によって違いますが、多い症状としては、食事中、突然茶わんやはしを落としてしまう、急に手がしびれて動かなくなる、急にろれつが回らず、うまく話せなくなるといったことが起こります。また片方の視野が真っ暗になる、目が見えなくなるということや、突然天井がぐるぐると回るようなめまいが起こることもあります。
これらの前触れ発作の持続時間はさまざまで、数十秒の場合もあれば、1時間、あるいはそれ以上続く場合もあります。ただ、長くても24時間以内には回復しますので、専門的にはこれを「一過性脳虚血発作」と呼んでいます。
脳梗塞は、前触れ発作の段階で治療を受ければ、ほとんどが予防できるようになっていますので、このような症状があれば、すぐ受診することが必要です。
一方、脳出血は、確実な前触れ症状というものはありません。しかし、高血圧患者で、頭痛、特に後頭部や首筋の痛み、ひどいめまいが起こったりするのは、その前兆と考えて、念のため医師の診察を受けることが必要でしょう。
インフルエンザの予防
2006年11月の記事
毎年12月下旬から翌年3月上旬にかけて、インフルエンザが流行します。
インフルエンザに感染すると、数日で突然の高熱、頭痛、全身の痛み、特に関節の痛み、全身倦怠(けんたい)感や脱力感を起こします。それと相前後して、せきやのどの痛み、鼻水、鼻詰まりなどの呼吸器症状が出てきます。いわゆる「ただの風邪」と違う点は、発症が急激で全身症状が強いことが挙げられます。
インフルエンザは、重症化することがありますので、注意しなければなりません。特に抵抗力の弱い高齢者、乳幼児、気管支ぜんそくなどの呼吸器疾患、慢性心不全などの循環器疾患、糖尿病、腎不全などの病気を持っている人は、インフルエンザにかかると、肺炎や気管支炎などの合併症を併発することがあります。合併症によっては、死亡することもあるので要注意です。
一番大事なことは、インフルエンザにかからないようにすることですが、その最も有効な方法はワクチンの接種です。
接種は、年齢にかかわらず誰でもすすめられますが、特に必要なのは次のような人です。
@65歳以上の高齢者
A長期療養施設などの入所者で慢性疾患を有する人
B肺および心血管系に慢性疾患を有する成人や小児
C糖尿病、腎疾患、免疫不全を有する人
Dインフルエンザ流行期が妊娠中期から後期にかかる予定の人
インフルエンザワクチンは、接種して効果が表れるまで通常約2週間程度かかります。できれば、12月中旬までに接種しておくといいでしょう。
めまいの対処法
2006年10月の記事
めまいの症状はさまざまです。急に立ち上がったときに目の前が暗くなったり、頭がクラクラッとする「立ちくらみ」、部屋の床や天井がグルグル回るように感じる「回転性めまい」、体がフワフワして地に足が着かない、波や雲の上を歩いているような「浮動性めまい」などいろいろあります。
立ちくらみの場合は、起立時の急激な血圧の低下が原因です。普段から低血圧気味の方は、急に立ち上がらないように注意してください。
回転性めまいの場合は、メニエール病の場合が大部分です。メニエール病は、耳の奥の内耳というところに、何らかの原因でリンパ液がたまることによって起こります。めまいと一緒に吐き気、耳鳴りや耳が詰まった感じ、難聴などの耳の症状が現れます。めまいの時間は比較的長く、30分から数時間に及びます。
めまいが起きたときは、静かな部屋で自分が楽に感じる姿勢で安静にして、発作が治まるのを待ちます。この場合、楽な姿勢は、右を下にするか、左を下にするか、あるいはあおむけにするか、人によってさまざまです。
浮動性めまいの場合は、脳の血液循環障害によるものが多く見られます。そのなかで多いのが「椎(つい)骨脳底動脈循環不全」です。動脈硬化によって脳への血流が減るために起こります。そのほか、脳梗塞(こうそく)、脳出血、一過性脳虚血発作でも起こる可能性があります。
めまいが短くても、「手足の震え、しびれがある」「ろれつが回らない」「激しい頭痛がある」などの場合は、直ちに医療機関で受診することが必要です。
肺がん検診の受診を
2006年9月の記事
高齢化に伴い、がんが増えています。なかでも、現在、最も死亡者が多いのが肺がんです。かつて男性の肺がんによる死亡率は、胃がんの半分程度でしたが、現在では胃がんを抜いて、第1位になっています。女性の場合も、肺がんによる死亡率は、乳がんや子宮がんといった女性特有のがんを上回っています。
肺がんで亡くなる人がこれほど増えている背景には、喫煙対策の遅れや肺がん検診の受診率が非常に低いということがあります。
肺がん検診では、一般に「胸部エックス線」と「喀痰(かくたん)細胞診」の二つの検査が行われます。肺がんには、肺の入り口付近にできる中心型肺がんと、肺の奥にできる末梢(まっしょう)型肺がんとがあります。前者には喀痰細胞診が有効ですし、後者には胸部エックス線検査が効果的です。従って、両方の検査を一緒に受けることが望ましいといえます。
最近では、さらに精度の高い「CT(コンピューター断層撮影)検査」が行われるようになってきました。これは、体を輪切りにした画像が数十枚得られるので、肺のどこにがんができていても写し出すことができ、5mm程度の小さながんでも見つけることができます。
以前は肺全体を撮るのに約20分もかかって検診には不向きでしたが、最近新しくできた「らせんCT」では、約20秒で肺全体を撮影することができ、検診にも多く利用されています。
たばこを吸わない人でも、肺がんになることがあります。40歳を過ぎたら、年1回の肺がん検診をきちんと受けたいものです。
くも膜下出血を防ぐ
2006年8月の記事
くも膜とは、脳の表面を包んでいる薄い膜のことです。このくも膜の下を通っている血管が破れて出血するのが、くも膜下出血です。大部分は、血管にできた動脈瘤(りゅう)という「こぶ」が破裂して起こります。
この動脈瘤は生まれつきのもので、成人の約5%が持っているといわれています。しかし、動脈瘤を持っているすべての人がくも膜下出血を起こすわけではありません。一般に40〜50代に多いのですが、20代の若い人に発病することもあります。
くも膜下出血の典型的な症状は、突然始まる激しい頭痛です。ちょうど、ハンマーで頭を殴られたような激しい痛みです。出血すると頭蓋(ずがい)内圧が急激に高まるためです。このような症状があったら、一刻も早く受診し、出血を止める手術が必要になります。ただ、くも膜下出血の頭痛は必ずしも激痛ばかりとは限りませんので、前日までは何ともなかったのに突然頭痛が起きたときは要注意です。
最初の発作で約4割の人が亡くなるという危険な病気ですので、予防が最も大切になります。発作を起こす前に動脈瘤を発見できれば、くも膜下出血を防ぐことができます。それには、MRA(磁気共鳴血管撮影)やCT(コンピュータ断層撮影)の検査が必要になります。
もし動脈瘤が見つかっても、直径5mm未満のものであれば破れる心配はほとんどありません。しかし、5mm以上のものは破れる危険性が高くなるので、手術が必要になります。手術では、開頭して動脈瘤の根元を金属製のクリップで挟み、動脈瘤に血液が行かないようにして、破れるのを防げば大丈夫です。
冷房病を防ぐ
2006年7月の記事
冷房は適切に使えば暑さによる体力消耗を防ぎますが、逆にそれが原因で体に障害を起こす場合があります。これを「冷房病」と呼んでいます。症状としては、体の冷え、倦怠(けんたい)感、食欲不振、頭痛、不眠、足のだるさ、下痢、腹痛、イライラ、神経痛、生理不順など、人によってさまざまです。
冷房病は働く女性に多いといわれていますが、体の熱の8割から9割は皮膚から奪われますので、冷房の効いた場所では、なるべく肌を露出させない工夫が必要です。出掛けるときは、長袖の上着やスカーフを持ち歩き、電車内や店内などでは、それらを身に着けるようにします。
職場では、上半身はカーディガンを着たり、下半身はひざ掛けを使ったり、靴下をはくなどして冷えを防ぎます。ひざ掛けは脚だけではなく、おなかにも掛けるとより効果的です。必要により、カイロをおなかや背中に当てるのもいいでしょう。
また、外との温度差が大きいと体に変調を来しやすいので、冷え過ぎないように温度差は5℃前後を目安にしてください。冷房が直接当たると、体が余計に冷えてしまうので、送風の向きにも注意しましょう。
冷房に長時間当たった日の夜は、入浴でたっぷり体を温めて、収縮している血管を広げることを心掛けましょう。夏は手ごろなシャワーを利用する人も多いようですが、シャワーには、血管を広げ、体を十分温める効果はあまり期待できません。また熱いお湯ほど体が温まる気がしますが、そうではありません。ぬるめのお湯で20〜30分かけてゆっくり半身浴する方が、血管が徐々に広がって体が温まります。
ペット感染症の予防
2006年6月の記事
犬や猫など身近なペットからうつる感染症が増えてきています。これを「ペット感染症」と呼んでいますが、家族の一員のようにしてかわいがられるペットが増えたり、珍しい野生動物がペットとして飼われるようになってきたことなどが原因です。
国内で確認されたペット感染症には、犬や猫から感染する「犬猫回虫症」や「猫ひっかき病」、オウムやインコなどから感染する「オウム病」、キタキツネから感染する「エキノコックス症」などがあります。これらは動物の唾液(だえき)や鼻水、爪、尿、ふんなどが感染源です。
感染を予防し、ペットと上手につき合うには、以下のことに注意しましょう。
犬、猫とも自分のはしで食事を与えたり、口移しで食べ物を与えないことが第一です。また食器の共有はしないこと。食器もペット専用のスポンジで洗い、人間のものとの共有を避けます。できれば、人間の食器は台所、ペットの食器は洗面所というふうに分けて洗うのが良いでしょう。
次にペットの尿やふんなどは放っておかず、すぐ処理します。この場合、手袋を忘れないこと。あとで手をよく洗ってください。
ペットを抱いたり触れたあとや、食事の前には十分に手を洗います。猫の爪は常に短く切っておきます。犬や猫についた回虫やノミを除去するためにも、ブラッシングやシャンプーはまめにして、いつも清潔を保っていることが、感染症を防ぐこつです。
珍しい野生動物は、未知の病原体を保有している可能性が高いので、ペットにはしない方が賢明です。
外傷後ストレス障害
2006年5月の記事
外傷後ストレス障害(PTSD)という言葉をご存じでしょうか。これは、阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件後の精神的後遺症として広く知られるようになりました。
本はといえば、ベトナム戦争に従軍し、戦場で外傷体験した兵士に、特有の精神症状があったことがきっかけとなってできた言葉です。しかし、最近は戦争だけでなく、地震などの大災害や犯罪、交通事故、性的暴行などに遭ったり、重傷を負うなどの大変な出来事を体験した後、それが原因となって生じる心の障害までも含めるようになりました。
ここでいう外傷とは、日常では体験しない強い衝撃的な出来事を指しています。本人が直接体験した場合だけでなく、そのような出来事を目撃したり、家族の誰かがそのような出来事に遭遇した場合も含まれます。
症状としては、本人はそのことを思い出したくないのに、突然その時の光景や感情が回想シーンのように鮮明によみがえってきて、不安や抑うつの症状となって現れます。そのために周囲への関心が鈍くなったり、不眠や意欲の低下、あるいは逆に過剰な警戒心から神経過敏になり、イライラして落ち着かなくなったりします。
このような症状が1カ月以上続き、非常に苦痛であったり、社会生活や仕事をする上で支障が出ている場合は、外傷後ストレス障害と考えられます。その場合は、できるだけ早く心療内科か精神科を受診して、早期に治療を開始することが大切です。
お年寄りと目まい
2006年4月の記事
お年寄りは若い人に比べて、目まいが起こりやすくなります。 お年寄りの目まいの原因はいろいろありますが、特に多いのが「起立性低血圧」です。これは、急に立ち上がったときに収縮期血圧(最大血圧)が急に下がり、脳の血液循環が悪くなるために起こります。これは、注意して急に立ち上がらないようにしたり、弾性ストッキング(足首を強く圧迫し、太ももに近づくにつれて徐々に圧迫が弱くなっていくストッキング)を使用することで、ある程度防ぐことができます。 次に「椎骨(ついこつ)脳底動脈循環不全」があります。椎骨脳底動脈は、頸椎(けいつい)の周囲をカーブしながら通っている血管で、首を曲げたり上を向いたりすると、この血管が椎骨に圧迫されて血液循環が悪くなり、目まいが起こります。なかでも動脈硬化が進んでいる人や、老化で首の骨が変形している人は起こりやすくなります。首を反らすと目まいがする人は、首をあまり反らさないようにしましょう。 それから脳梗塞(こうそく)や脳出血もお年寄りに多い病気です。目まいのほかに激しい頭痛や嘔吐(おうと)を伴ったり、手足がしびれ、思うように動かない、ものが二重に見えたり、かすみがかかって見える、などの症状があれば、すぐに受診することが必要です。 脱水からくる目まいもあります。汗をたくさんかいて体の水分が失われると、脱水症状によって目まいが起こります。お年寄りは、のどの渇きを感じる感覚が鈍くなるため、脱水がひどくなりやすいので、周囲の人は注意が必要です。脱水を防ぐには、小まめにお茶などを飲むことです。
シックハウス症候群
2006年2月の記事
住宅という環境に関係して、体にさまざまな症状が起こる病気を「シックハウス症候群」といいます。英語で「シック」は病気、「ハウス」は家ですから、「シックハウス」とは「病気を起こす家」という意味になります。
生活の拠点である住宅が、病気を起こすもとになっては大変ですが、実際に新築や改築後の住宅などで、さまざまな症状を訴える人が多くいます。その原因は、建材などから揮発して出てくる化学物質が、室内の空気を汚染することによります。化学物質は、床・壁・天井などの建材・接着剤や塗料・壁紙など家をつくるための材料や、家具、防虫剤などの生活用品に使われています。
症状は人によって多少違いますが、目がチカチカする、鼻が詰まる、のどが痛む、頭痛や吐き気がする、などがあります。このような症状はほかの病気でも起こりますが、「新築や改築のあとに症状が起きるようになった」「自宅をしばらく離れると症状が軽くなる」ということがあれば、シックハウス症候群が疑われます。
化学物質のチェック方法としては、建材や家具などに顔を近づけて、ツーンとしたにおいがするときは、ホルムアルデヒドなど化学物質が多く飛散していると判断できます。さらに目やのどが痛くなる場合は、空気中の化学物質の濃度が高くなっていることが疑われます。
室内の化学物質の濃度を下げるには、換気がとても有効です。換気システムがある場合は常に運転させるようにしてください。使われている建材のどれが原因か、どの化学物質が関係しているかよく分からない場合は、施工業者に問い合わせましょう。
やけどのとっさの手当て
2006年1月の記事
冬になると、暖房器具や熱い飲み物が増え、従ってやけどする機会も増えてきます。もしやけどしてしまった場合、どうしたらよいでしょうか。
家庭でのやけどの応急手当には、3つの原則があります。
第一にしなければならないことは、一刻も早く流水で冷やすことです。水道の水を出しっぱなしにして、少なくとも20分以上冷やします。冷やすことによって、やけどが深いところまで進行するのを抑える効果があり、また痛みをやわらげます。冷やした後は、清潔なガーゼやタオルで患部を包んでおきます。
着衣で覆われている部分をやけどした場合は、衣類と皮膚がくっついている場合がありますから、衣類の上から水をかけます。その後、ハサミで衣類を切り開くなどして、慎重に脱がせてください。あわてて衣類を脱がすのは、水ぶくれを破ってしまうのでよくありません。
第二に、水ぶくれができた場合は、それを破らないことです。水ぶくれを破ると痛みが増すだけでなく、細菌が入りやすくなるからです。もし水ぶくれが破れてしまったときには、中の液体をしっかり出し、膜はそっとそのままにしておきます。水ぶくれの膜は、患部の乾燥を防いで傷を保護したり、痛みを抑える働きがあります。
第三に、やけどの部分に何もつけないことです。油、みそ、醤油、チンク油などは塗らないでください。感染の原因になりますし、診察時にやけどの程度がわかりにくくなります。また治療にあたり、医師が水ぶくれを破らないようにこれらを取り除く際に大変苦労します。
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