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唐辛子みそで肥満防止
2008年7月の記事
最近は、夏やせする人が少なくなり、むしろ夏太りになる場合が多いようです。
クーラーの効いた部屋で過ごす時間が増え、極端な運動不足が起こります。これではおなか周りの脂肪も増えてしまうでしょう。
昔は暑い炎天下でも出歩かなければならず、汗と酷暑でぐったりして食欲不振となり、その結果としてやせたわけです。やがて秋になって涼しくなり、新米が出回るころになると、食欲も回復してきます。夏やせも自然に解消するので、元の健康体に戻れたのです。
夏の終わりが近づくと、世界一美味な新米をはじめ、サンマやマツタケ、ブドウ、サツマイモなどが登場するのは今でも変わりません。ついつい食べ過ぎて、夏太りに続いて秋太りにもなってしまいます。
そこで注目したいのが、唐辛子みそ。作り方はいたって簡単です。
材料は唐辛子(粉末)、みそ、砂糖、ごま油、酒。
まず、フライパンを火にかけ、ごま油をたらして、そこにみそ、唐辛子、酒少々、それに好みの量の砂糖を加えて練り上げるだけです。
ここにすりごまやニンニクを加えると、夏ばて防止やスタミナ強化が期待できます。
辛味成分のカプサイシンがエネルギー代謝を盛んにするので、体内に貯蔵されたおなか周りの脂肪分解も進むはずです。メタボリックシンドロームという肥満体の解消にも、唐辛子みそは役に立つのではないでしょうか。
唐辛子を食べた後に、汗をかいたりするのは、新陳代謝が活発になり、脂肪の燃焼が始まった証拠です。運動したときと同じように、脂肪が熱エネルギーとなって、体外に放散されているのです。カプサイシンは、殺菌や疲労回復などにも役に立ちます。
モロヘイヤとクレオパトラ
2008年6月の記事
モロヘイヤは地中海地方原産の野菜で、古代から栽培されています。日本に広まったのは比較的新しいのですが、極めて栄養価が高く、最近では野菜の王様と呼ばれるほど注目されています。
このモロヘイヤという名前は、アラビア語の「王様の野菜」からきているそうです。病気になった王様が食べたところ、たちまち元気になったと伝えられています。クレオパトラも常食していたそうですから、世界三大美人の一人といわれるあの美しさも、モロヘイヤによるところが大きかったのかもしれません。
栄養分を見てみると、がん予防で脚光を浴びているカロテンの含有量が、ホウレンソウの2倍以上。お肌の若さを保って免疫力を強化するビタミンCは、ミカンの約3倍、グレープフルーツの約2倍です。
驚いたことに骨の材料として重要なカルシウムは、100g中260mg含まれています。しかもカルシウムを骨に沈着させるビタミンKもたっぷりです。
また、葉を切ったときに出るネバネバは、ムチン質と呼ばれ、糖の吸収を遅らせる働きがあります。そのため糖尿病の予防にも期待されているのです。
さらに、取り過ぎた塩分の排出に働くカリウムは、野菜の中ではトップクラス。濃緑色の色素に含まれているケルセチンは、抗酸化作用に加えて、毛細血管の強化や高血圧の予防などに期待されています。
ほかにも体内の余分な脂肪の分解に役立つビタミンB2、物忘れを防ぐビタミンB1、そして脳の血行を良くし、造血に必要な栄養素として注目されている葉酸も豊富です。
栄養たっぷりのモロヘイヤは、クレオパトラや王様でなくとも、今すぐに食べたくなります。おひたしやスープ、いため物、天ぷらなどにするとおいしく食べられますよ。
ぬかみそ漬けのパワー
2008年5月の記事
日本人は納豆菌、乳酸菌、麹(こうじ)菌、酵母菌など「菌食」の達人といってよいでしょう。
不老長寿や健康に役立つ、生きた菌を漬物やみそ、甘酒、塩辛などの発酵食品から取ることによって、病気に負けない健康づくりをしてきたのが日本人なのです。
病原菌やウイルスなどの感染から体を守り、がんの発生を防ぐためにも免疫力の強化は欠かせません。
「ワッハッハッ!」と明るく楽しい生涯現役人生にするためにも、発酵食品を取って免疫力のパワーアップですよ。
そこでおすすめしたいのが、ぬかみそ漬け。日本のオリジナル漬物であり、世界に胸を張って自慢できる即席漬けの大傑作といえるでしょう。漬け床の材料である米ぬかに含まれるビタミンB1、B2、E、カルシウム、カリウム、亜鉛、鉄、タンパク質、炭水化物、脂質などの豊富な成分を、そっくり回収した食べ物がぬかみそ漬けなのです。
例えばダイコンとかカブなどを、半日ほどぬかみそに漬けただけで、ビタミンB1は10倍近くまで増加するのです。
そして私たちの腸の中には、有害な発がん性物質が常に発生しているといわれています。それらの危険物質がたくさんできるかどうかは、便通の良しあしによって大きく変わってくることが分っています。
普段から食物繊維の多い野菜や、ぬかみそ漬けのような乳酸菌や酵母、酵素の多い発酵食品を取っていれば、便通も自然と良くなりますから、発がん性物質なども速やかに排せつされてしまうはずです。
米ぬかに塩と水を混ぜてぬか床を作り、熟成させてから漬けましょう。夏は3時間ほどで漬かるので、キュウリ、ナスなど初夏の野菜をどんどん漬けましょう。キャベツ、ミョウガ、セロリなどを漬けても風味があっておいしいです。1日に1回はぬか床をかき混ぜるのが風味を維持するコツです。
かしわもちで元気になぁれ
2008年4月の記事
五月晴れの大空にこいのぼりが泳いでいます。もっともっと元気になあれ。子どもたちの成長と立身出世を願って作るのが、5月5日の「かしわもち」。
5月5日は、いうまでもなく子どもの日であり端午の節句です。
しかし昔の中国では、5月は悪月であり、5の重なる5月5日は、最も用心しなければならない日でした。旧暦の5月は高温多湿の盛夏であり、伝染病やカ、毒虫、ヘビなど、害の多い月だったからです。
このためヨモギを門戸などにつるして悪霊が取りつくのを防いだり、魔よけの力があるといわれるショウブを身につけ、あるいは薬草摘みなどをして邪気ばらいをしました。
この日に食べるのが「かしわもち」。原形は「ぶと」と呼ばれた古代菓子で、かぶとのような形をしています。
かぶとは戦うときの防具であり、病気を防ぐとか、病気に勝つといった意味があります。米の粉を練り、あずきあんを包んでかぶとの形にし、これをカシワの葉で包み、蒸して作ります。昔はどこの家にもかしわもち用のカシワの木が庭の隅の方に植えてあったものです。大きくてすがすがしい香りのする葉は、殺菌作用もあって、かしわもちを長持ちさせる上でも役に立ちました。
あずきあんばかりではなく、砂糖を加えたみそあんにする場合もあります。みそあんのかしわもちは、すでに江戸時代からあり、女性に人気がありました。
そして次のような川柳もあります。
「柏餅ふけるたんびにひとつ喰(く)い」
蒸し上がるたびに一つずつ食べるという内容で、よほど待ち切れなかったのでしょうね。小豆にはアントシアニンという抗酸化成分、みそにはアミノ酸がたっぷりですから、元気が出ます。
はちみつで元気に!
2008年3月の記事
春はいろんな花が一斉に咲くので、ミツバチは大忙し。
「ハネムーン(蜜月)」の起源は、新婚ホヤホヤの夫婦が、まるまる一カ月間、はちみつで作った甘い酒を飲むところから来ているのだそうです。
古代ゲルマン民族の伝統的な風習といいますから、かなり古くから行われてきたのですね。
程よい酔いが情熱を高め、はちみつ酒の栄養成分が、スタミナ効果を高める上で役に立ったのです。
いずれにしろ人類が一番最初に口にした甘味料が、はちみつであるのは間違いありません。
そしてスペインのバレンシア地方の洞窟(どうくつ)では、はちみつを採取している若い女性の壁画が発見されています。だいたい1万年前のものとみられ、日本では縄文時代の初めのころに当たります。
『日本書紀』には「蜜蜂」の文字があるので、日本でも古くから利用されていたことが分かります。平安時代の記録などには「美知(みち)」とあり、甘味料というよりは、薬用として珍重されていたようです。何しろごく少量しか採集できなかったようで、かなり高価なものでした。
はちみつの20%は水分で、残りの約80%は糖質なので、相当甘いのも納得です。そのほかの成分としては、ミネラルの亜鉛とビタミンCがごく少量含まれています。
主成分の果糖とブドウ糖は、どちらも消化吸収の良い単糖類です。胃や腸にあまり負担をかけずに疲労回復ができます。
そこでおすすめしたいのが「ごまハニー」。練りごま(白)にはちみつを混ぜ、レモンの搾り汁を数滴入れたら出来上がり。これをバタートーストに塗って食べると美味です。甘味のブドウ糖は、脳のエネルギー源として即効性があります。
春になったらヨモギです
2008年2月の記事
小川の水かさが増えるころ、土手ではフキノトウがおっかなびっくり芽を出しています。水辺ではセリが新芽を伸ばし始めました。
原っぱのヨモギも負けてはいません。日だまりの中で、若々しい葉っぱをぐんぐん広げています。
ヨモギは古くから、人間の生きる力を強くする薬草として大事にされてきました。
仙人の住む山を蓬莱(ほうらい)山と呼びます。もちろん伝説の山で「蓬」はヨモギ、「莱」はアカザのことを指します。どちらも生命力は極めて盛んで、荒地にもしっかりと根を下ろし、ほかの野菜をけ散らして繁殖するパワーがあります。
ヨモギもアカザも食用になりますが、薬草としての効果も少なくありません。特にヨモギは抗酸化力の高い草で、細胞の酸化、つまり老化を防ぐ力が大変に強いことが分かっています。平安時代の医術書などには「一名医草」とあり、不老長寿に役に立つ薬草とみられていたようです。
特に多いのがビタミンCやE、カロテン。これらは抗酸化作用や免疫力の強化作用などがあり、確かに長生きに役立ちそうです。
また、ヨモギの薬効は多彩で、鮮やかな濃い緑色のクロロフィルには、がん予防のほかに浄血や殺菌、血行を良くするなどの働きが認められ、苦味成分のアデニンやコリンは心臓を丈夫にしたり、脳の老化やボケ防止にも役立つといわれます。
考えてみたら、昔から食べてきた「草もち」はがんや心臓病、脳卒中などを予防する特効薬みたいな存在です。ビタミンCの含有量はミカンと同じくらい。ビタミンCの体内濃度の高い人ほど長生きするという説もあります。
今年も世界一の長寿民族に
2008年1月の記事
日本人の平均寿命が、どんどん伸びています。厚生労働省が発表した2006(平成18)年の「簡易生命表」によりますと、私たち日本人の平均寿命は次の通りです。
男性・・・・79・00歳
女性・・・・85・81歳
もちろん過去最高で、男性の20・6%、女性の43・9%が90歳まで生きられる計算になるそうです。日本人の平均寿命が急伸している背景には、「医療の進歩」「国民健康保険」「肉食比率の向上など栄養状態の改善」などがプラス効果を上げていますが、最も大きな要因は乳幼児の死亡率の激減にあります。
日本人の平均寿命が男女ともに50歳を超えたのは、終戦直後の1947(昭和22)年です。
男性・・・・50・06歳
女性・・・・53・96歳
これから見ますと、日本人の寿命は右肩上がりに伸び続け、戦後60年間で男女ともに、ほぼ30歳分の寿命を伸ばしたことになります。そして日本人の寿命は、がん、心疾患、脳血管疾患の三大病が克服されれば、さらに男性で8・49歳、女性で7・68歳、寿命は伸びると厚生労働省は見込んでいます。
世界各国の平均寿命と比べてみると、女性は1985(昭和60)年以来、日本がナンバーワンですが、男性はアイスランドの79・4歳に次いで2位となりました(2006年)。ちなみに3位は香港の78・8歳、4位にはスイスの78・7歳が続きます。
確かに平均寿命はトップクラスですが、ただ命を永らえるよりも、自立し尊厳を持って健康に生きることのできる「健康寿命」が、これからは重要になってくると思います。ご飯、みそ汁、魚料理、納豆といった古来の健康食に注目して、健康寿命を伸ばせるように食生活から気遣っていきたいものです。
お年玉は長寿食
2007年12月の記事
お正月の子どもたちの楽しみの一つは、何といってもお年玉でしょう。お年玉というと、現在は新年を祝う贈りものや子どもたちにあげる金品を指しますが、もともとは神様の不滅の力を頂くこと。
お正月のもちには「歳神様」の御魂が宿っており、お供えしたもちを食べることによって健康や長寿、豊かな実りを得ることができると考えられていました。そこから転じて、歳神様の恩恵を家族や使用人などに分け与える「お年玉」という習慣が生まれたのです。
お年玉というのは、小さな丸いもちを指すという説があります。丸いもちは「歳魂」を意味しています。昔は、お正月には嫁入り先でも婿方でも、子は親を招き、親はまた子を呼んで丸いもちを共に食しました。それによってお互いの生命力を強化し、新しい年に向かって出発するのがお正月迎えの目的の一つでした。 そのしきたりは、現在の里帰りや新年のあいさつ回り、さらには子どもたちへのお年玉として残っています。
そして丸いもちの一つひとつに歳神様のエネルギーが宿っていると考えられたことから、贈られたもちをより多く食べれば、よりたくさんの生命力がつくという信仰が生まれました。それが丸いもちを贈り合う正月の行事となったのです。
また、お正月には邪気を払う「若水」の行事にもありますように、もちの場合にも「若」をつけて「若もち」とし、若返りの力を授かるとも信じられています。お正月は丸いもちをちょうだいしてみんなで若返ることにしましょう。
冬至のカボチャは美容食
2007年11月の記事
「冬至」は24節気の一つで現在の暦でいうと、12月22日か23日に当たりますが、今年は22日です。
一年中で一番昼が短い日で、次の日から畳の目一つずつ日脚が伸びていきます。しかし、実際の寒さはこれからが本番。
この時期の季節の変わり目は、健康に重大な影響があるため、生活上の注意がいろいろ必要でした。
冬至の日は寒さに対する抵抗力をつけるために、「ん」のつくものを7種類食べなければならないといわれてきました。レンコン、ミカン、ニンジン、こんにゃく、ダイコン、ホウレンソウ、ニンニクなど。
土用の丑(うし)の日の「う」に対し、冬至は「と」のつくものを食べると風邪をひかないという地方もあります。トウガラシ、鶏肉、とろろ汁、湯豆腐などで、確かに体の温まるものが多いようです。
しかし、冬至は何といってもカボチャ。この日のカボチャには中気や風邪を防ぐパワーが特に強いといわれていますが、カボチャにはビタミンA、C、Eやカロテンなどが多く、本格的な寒さの来る前に免疫力を強くしておこうという知恵が感じられます。
カボチャは代表的な緑黄色野菜の一つで、カロテンの宝庫。毎日野菜を通してカロテンを取っている方は肌に若々しい張りがあり、病気に対する抵抗力も強く、10歳は若く見えるそうです。
カボチャ好きの女性に年齢を感じさせない素敵で美しい方が多いのは、カロテンやビタミンCなどによる美肌作用のせいかもしれません。
カボチャに多いカロテンやビタミンCは肌に潤いを与えたりしみの発生を防ぎ、Eは血液の循環をスムーズにする働きで知られています。
赤ワインで不老長寿
2007年10月の記事
人類の進化史上で、最も早く出現したアルコール飲料は、ワインと考えられています。
サルでも果実を用いて「猿酒」を作るという伝説があるくらいですから、ホモサピエンスの頭脳をもってすれば、発酵のメカニズムを理解するのも、それほど難しくはなかったはずです。
ワインといっても、果皮も種も混じった状態のどろどろした酒とみられますが、その代わりポリフェノールはたっぷり含まれた赤ワインタイプだったようです。
赤ワインは赤黒い皮つきのブドウをつぶし、酵母を加えて発酵熟成させた醸造酒。ブドウの皮には野生の酵母類がたくさん付着していますから、ブドウをつぶして寝かせておくだけでもブドウ酒になります。
皮ごと醸造した赤ワインには、アントシアニンやタンニン、カテキン、フラボノイドといった脳や血管などの酸化を防ぐポリフェノールが多量に含まれています。適量の赤ワインには、血液をサラサラにする作用やアルツハイマー病の予防も期待されています。
赤ワインには動脈硬化の予防作用があることも知られていますが、これはタンニン系の物質によるものとみられています。
現在、世界で最も飲まれている酒は赤ワインで、飲みやすいだけではなく、不老長寿効果でもファンを増やしているようです。
いくら赤ワインに老化防止作用があるといっても、飲み過ぎがよくないのは言うまでもありません。
夕食時などに適量を楽しむという程度で継続するのが、理想的です。
クルミは山の長寿食
2007年9月の記事
私たちのはるか先祖である縄文人ほど、季節の移り変わりに敏感だった人たちは少ないでしょう。
彼らは、その季節にならないと実をつけないもの、あるいは芽生えないもの、川や海にやって来ないもの、つまり「旬のもの」しか基本的には食べていないと考えられます。春、夏、秋、冬の旬のものを次々と食べることによって、自分の体調を季節の変化に順応させ、生命力の衰えを防いでいたのです。日本の秋山の恵みは豊かで、「木の実しぐれ」という言葉があるほど、足の踏み場もないくらいクルミや栗、ドングリなどが転がっていたものです。特にクルミは縄文人も大好物だったようで、各地の縄文遺跡からその殻がたくさん出土しています。
クルミの実は、脳の形によく似ています。表面のしわといい、色といい、まるで脳の小型模型。そのようなこともあって、中国ではクルミの薬効の一番目に脳の機能向上を挙げ、物忘れ、不眠症、気力充実などに活用していたそうです。
中国清朝の実力者として有名な西太后(せいたいこう)は、大変に肌の美しい方だったそうですが、クルミで甘いドリンクを作り、それを愛用していたためではないかといわれています。
クルミで注目されるのは血液をさらさらにして流れやすくする作用のアルファ・リノレン酸が豊富な点。さらに、必須アミノ酸のトリプトファンもたっぷり。活性酸素のダメージから細胞を守る抗酸化作用も期待できるそうです。
疲労回復やスタミナの強化に役に立つアルギニンも含まれています。若返り効果のビタミンEも多く、クルミは山の長寿食なのです。
秋の夜長をキノコ鍋で
2007年8月の記事
人恋しい秋です。みんなで集まって、ヘルシーな「キノコ鍋」などいかがでしょうか。
主役は、シイタケ、マイタケ、エノキダケ、シメジなど。もちろん、このうち何種類かでも構いません。それに肌の老化を防ぐ鶏の骨つき肉のぶつ切り、昆布、ネギ、ハクサイ、みそ、日本酒、みりん少々、薬味としてショウガ。
鍋に昆布を敷き、水、ショウガ、酒を入れて火にかけ、ひと吹きしたら昆布を取り出して鶏肉を入れます。沸騰してから弱火にしてじっくりと30分ほど煮込んで、うま味を引き出します。
キノコは石づきを除いてから入れ、さらにぶつ切りのネギ、ざく切りのハクサイなどを加えて、5〜6分煮込み、みりん、みそで味を調え、ひと吹きしたら出来上がりです。
まずキノコから器に取り、七味唐辛子、または粉さんしょうなどをパッパッと振って、豪快にほお張りましょう。
人間は年を取るにつれて免疫力がダウンしていきます。青年期の免疫力を10とすると、40代では7程度になり、60代では4程度にまで低下するそうです。
キノコには、免疫力をアップさせる成分がたくさん含まれています。その代表的な成分がベータ・グルカンという多糖類で、免疫機能を高めて、がん細胞の発生を抑える働きが知られています。
またキノコは、腸の働きを活発にする食物繊維が豊富に含まれています。食物繊維が慢性的に不足している現代人にとっては、理想的な食材といっていいでしょう。
ミョウガと女王卑弥呼
2007年7月の記事
ミョウガは、その彩り、香り、さわやかな風味とともに、夏に涼しさを呼ぶ代表的な香味野菜です。冷や麦やそうめんなどに刻みミョウガを添えてあると、いっそう涼しさが感じられて食欲も自然にわいてきます。
香りの成分はアルファピネンで、体内にこもった熱を冷まし、血行を良くする作用があり、夏バテ予防におすすめです。またカロテンとカリウムも多く、塩分を調節して高血圧を予防する働きがあります。
『魏志倭人伝』というと、邪馬台国(やまたいこく)や女王の卑弥呼(ひみこ)でよく知られていますが、古代人の風俗などを記したくだりに、「ミョウガ」が出てきます。
「襄荷」という文字で、平安時代の辞典である『和名抄(わみょうしょう)』によれば、「和名を米加という」とあり、古くはミョウガを「めか」と呼んでいたことが分かります。
『魏志倭人伝』にはミョウガが「冬夏食生菜」として登場します。冬も夏も「生菜」を食べるという意味で、生菜は「生のまま食べる菜(おかず)」ととらえ、現在の刺し身という意味に解釈した方が自然ではないでしょうか。
また、同書には古代の日本人は海に潜って魚や貝などを採ると記されているので、ミョウガは魚介を生食する際に薬味に使われたとみるべきでしょう。
ミョウガを刻んで、ちょっと上等なかつお節と混ぜ、しょうゆをほんのちょっと。涼しくて長寿に役立つおかずの出来上がりです。
しじみ汁でスタミナ強化
2007年6月の記事
スタミナが落ちてるなァ、と感じたときに役に立つのがしじみ汁。シジミの殻は縄文遺跡からも、たくさん出土しており、縄文人も「くたびれたなァ」というようなときにしじみ汁を作り、食べたり飲んだりしていたのではないでしょうか。
海水と川水の入り混じる河口汽水域にすむのがヤマトシジミで、旬は夏です。特に、土用のころに味が濃くなるところから、「土用シジミ」と呼ばれています。
川の上流や湖などの淡水にすむのがマシジミで、冬が旬であるために「寒シジミ」といわれたりします。どちらも丸くて小粒で、黒っぽい殻を身につけています。
ほとんどの場合、みそ汁にしますが、みそ汁にすると味が良くなるだけではなく、みそという大豆発酵食品と出合うことによって、アミノ酸バランスがさらに良くなり、うま味も栄養価もいっそう高くなりますから、体力がつくのです。
疲れやすい方におすすめしたいのが、このシジミのみそ汁。肝臓の働きをよくするグリコーゲンもたっぷりで、体を内側から元気にしてくれます。
シジミには脳の老化を防ぐビタミンB12が多く、みそに含まれるレシチンと一緒になると、脳の若返りに役立つスープにもなります。
昔から「肝臓が弱ったらしじみ汁」といわれてきたのは、タウリンなどのアミノ酸やビタミンB類、亜鉛などのミネラルが豊富に含まれているためです。
シジミのタンパク質は、量としては決して多くはありませんが、その質は理想的で卵や牛肉などにも匹敵するほどです。しじみ汁はまさに「長寿汁」といってもいいでしょう。
のり巻きは完全食
2007年5月の記事
天気の良い日は、ちょっと遠出してみませんか。ドライブよりも、波打ち際をウオーキング。
はだしになって海辺を歩くと、体中の筋肉や脳細胞が喜び、もっと歩け、もっと歩けと言ってせがみます。やがて、じっとりと汗ばんでくるころ、心地よい空腹で食事をしたくなります。行楽の弁当は何といっても「のり巻き」で決まりです。
甘めの卵焼きやかんぴょう、シイタケ、それにそぼろなどをしんにして、ちょっと太めに巻きましょう。手軽でおいしいですし、栄養のバランスも取れています。
砂の上にどっこらしょと腰を下ろして足を前に伸ばし、のり巻きを広げます。すると、波の音や潮の香りが、いっそう食欲をかき立ててくれます。
今と同じような形をしたのりが登場するのは江戸時代の初めで、江戸の浅草かいわいで作られるようになりました。やがてのりは「弁当革命」を起こし、のり巻きやのりおにぎりが弁当の主流になっていくのです。
四角いのりにご飯を平らに載せ、中ほどに卵焼きなどを置いてくるくる巻くと、棒状のスナックの出来上がりです。
両手に持って、そのままかぶりついてもいいですし、切って食べてももちろん構いません。納豆巻きなんかも健康的でいいですね。
主食はご飯で、しんに入れた卵焼きなどは主菜に、のりは副菜に当たります。つまり、一本ののり巻きで、簡単ではありますが、主食とおかずがいっぺんに取れてしまいます。あとはみそ汁かお茶がつけば、一食の完成となるわけです。
インゲンマメのバターいため
2007年4月の記事
インゲンマメの若さやを利用するのがサヤインゲンです。グリーンの色彩が豊かで、食欲をそそります。
火にかけたフライパンにバターを溶かし、長さ5〜6cmに切ったサヤインゲンを入れ、さっさっさっと転がすと、みるみる色も鮮やかなグリーンになります。すかさずしょうゆをちょっと掛け、もうひと転がしして味をなじませたら出来上がり。ちょこっと一味唐辛子を振り掛けると、いっそう美味。
香ばしいしょうゆの香りに包まれたサヤインゲンの甘いこと。さァ、ビールを冷蔵庫から出しましょう。冷たいビールが泡ごとのどをクーッと流れ落ち、いやァー、僕は幸せだなァ。ハッピネス・ホルモンのセロトニンが脳の中に発生するのも、このような「幸せタイム」かもしれません。
サヤインゲンは脳細胞や体細胞のさび、つまり酸化から体を守ってくれるカロテンが多く、油でいためることによって、カロテンの栄養効果がさらに高くなるのです。サヤインゲンはビタミンCやB1、B2、E、K、葉酸、さらにはカリウムやカルシウム、鉄などのミネラルも含まれています。
このグリーンの美しい「野菜マメ」は、料理のつけ合わせにも重宝します。ゆでたり、いため物にしてもよく、和、洋、中華といずれの料理でもよくなじみます。天ぷらや煮物、さらにはしょうがじょうゆで食べても持ち味がよく生きます。
さやの上からかすかに青実の膨らみが感じられるくらいのものがよいでしょう。グリーンがさえていて、傷のないものがベストです。若いさやにはアミノ酸が比較的多く、自然の甘味がよく出ていて塩味によく合います。
春はヒジキで骨元気
2007年3月の記事
「生涯現役」の時代を生き抜くために必要なのは「生涯骨丈夫」。生涯現役は、体を支える骨の力にかかっているのです。
日本の人口推計によると、40年後の平均寿命は男性が83歳で、女性は89歳に達するそうです。
このとき、頭脳力と健康力に加えて、骨の力が何よりも重要になってきます。今のうちから骨を丈夫にしておくと、長い老後が楽ですし、面白くもなるはずです。そのためには、骨を強くするカルシウムを十分に取ること。そこで、海藻のヒジキに注目しましょう。
昔はヒジキと油揚げを甘辛く煮つけ、どこの家でも常備菜としてよく食べたものです。春は田植えなどで忙しくなるため、作り置きのおかずが多くなるなか、ヒジキの煮つけは理想的だったのです。
ヒジキにはカルシウムや鉄などのミネラル、そしてカロテン、ビタミンB類にE、Kなどに加えて食物繊維も多く、まさに生涯現役と不老長寿のサプリメントのような海藻。骨を丈夫にするだけではなく、血行を良くして通じをスムーズにするので、若返り作用まで期待できます。
カルシウムは、食べるトランキライザー(精神安定剤)ともいわれるように、イライラを防ぎ、ニコニコと自然にいい表情にしてくれます。
一方の油揚げに含まれているイソフラボンは、更年期障害や骨粗しょう症の予防効果がある点から注目を集めています。
ヒジキは水で戻してから油揚げやニンジンなどといためてニコニコと食べましょう。そして、春の野山を歩き回ってもびくともしない丈夫な骨を形成しましょう。
牛乳で骨まで元気
2007年2月の記事
皆さんの骨は大丈夫ですか?
私は心配です。というのは、日本人の場合、骨の材料となるカルシウムが慢性的に不足しているからです。
大人で1日に600mg必要なのですが、実際に取っているのは540mgくらいなので、ほぼ1割ほど不足しています。
カルシウムは体の屋台骨です。今や人生80年の時代ですから、体を支える骨が丈夫でないと、体を健康な状態で維持するのは困難といえます。
生まれてハイハイを始め、学校へ入学してやがて社会人となり、中年、そして定年。その後に長い長い老後が続くのです。その間、80年。そんなに長い年月を世話になる骨なのですから、カルシウムをしっかり取ってほしいのです。
カルシウムといえば牛乳です。牛乳100g中には約110mgのカルシウムが含まれています。コップ1杯(200g)で1日に必要な量の3分の1が取れます。
骨を丈夫にして長生きするには、10代のうちに骨密度を高めておくことが重要です。骨密度は20歳代でピークとなり、その後少しずつ減少期に入り、女性の場合、更年期後は急減して骨折しやすくなるそうです。
骨粗しょう症を防ぐためにも、牛乳です。牛乳は、老後を楽しくする「骨貯金の元金」といってよいでしょう。
カルシウムは食べる精神安定剤ともいわれるように、不足するとイライラしたり、怒りっぽくなったりします。いつもニコニコと明るく生活するため、そして春を楽しむためにも、骨を元気にしましょう。
「ネギ雑炊」で体力強化
2007年1月の記事
まだまだ寒い日が続きます。春の農作業が始まる前に、体力をつけておきましょう。そこで「ネギ雑炊」の出番です。
雑炊は、簡単に作れる上に、野菜などもたっぷり取れますから、栄養効果も高く、ジャガイモや豚肉などを入れると、子どもも喜んで食べます。
戦中戦後は毎日のように雑炊でした。ご飯の量の少ない水ばかりの雑炊が続くと、体に力が入らず、歩くと多少はフラフラし、体もやせてきます。少ない米や麦を食い延ばすためには、やむを得ない食べ方だったのです。これを現代に応用すれば、見事なダイエット食。太り過ぎは飛んでいけーッ!というわけです。
江戸時代には、雑炊やおじやに加えて、「いれめし」とか「煮混ぜ」などとも呼ばれていました。ダイコンやイモ、カブなどでみそ汁を作っておき、そこへ冷や飯を入れて仕上げます。当時は「雑水」(雑炊のこと)ともいわれ、水気が多いわけですから、ずいぶん腹が減ったのではないでしょうか。
「ネギ雑炊」の場合、カロリーは低いのですが、フラフラどころか食べると「健康力」がつき、ダイエットにも役に立つという、体のしんから温まる雑炊です。
まず、鍋にサラダ油を熱してジャガイモと豚肉を入れたら、だし汁(かつお節、昆布で取る)を注ぎ、みそを加えます。そこへ、ご飯と一緒にざく切りにしたネギを入れ、ひと吹きしたら生卵を回し入れて出来上がり。
多少の風邪っ気なら吹っ飛んでしまうほど力がみなぎります。豚肉にはビタミンB1とEが多く若さを保ってくれますし、ネギの硫化アリルには血行を良くする作用があります。
正月と赤い魚
2006年12月の記事
正月料理や結婚式などの祝い膳には、赤い色素を持った主菜が欠かせません。タイやサケ、伊勢エビなどで、どれも格好良くて味も良く、しかも美しい赤い色を身につけています。
呼び名の語呂も良いものばかりで、タイは「おめでタイ」ですし、サケは「栄える」。伊勢エビの目玉は飛び出しており、この「出目」を逆さ読みして、これまた「オメデタイ」と縁起を担ぐわけです。
いずれも鮮やかな赤色で、この色は古くから「生命」に力を吹き込むパワーを強める色として、日本人は大事にしてきました。
赤い色素は、私たちの体の酸化を防ぐアスタキサンチンという物質で、強力な抗酸化作用でこのところ脚光を浴びています。
タイやサケ、エビを、正月の祝いのさかなに不可欠なものとして食べ続けてきたのは、老化防止の知恵といってよいでしょう。
アスタキサンチンを効率良く取るためには、ビタミンCを含む食品と一緒に食べるとよいでしょう。タイを刺し身にするときにも、大根おろしを添えたり、レモンやカボスなどの搾り汁を振り掛けたりします。焼きサケを食べるときにも同じようにして食べると、若返り作用がさらに高くなります。 アスタキサンチンは皮の部分に多く含まれており、なるべく皮ごと食べるのが理想的です。
タイやサケは、正月の魚として理想的な長寿食。また、エビにはタウリンが多く、イライラ解消に役立つ働きがあります。
そばを食べてもっと長生き
2006年11月の記事
このところ、雑穀やそばが脚光を浴びています。素朴な味わいに加えて、栄養の面からも注目されています。
確かにアワも、キビもビタミンやミネラルが多いですし、体の酸化を防ぐポリフェノールや整腸作用を高める食物繊維もたっぷり含まれています。
寒さが厳しくなると、そばがおいしくなります。新そばが出回るためで、香りに加えて、のど越しのさらりとした感触もほかの時期とは違います。
ところで、12月に入ると味が引き締まって甘味が増してくるのがネギとダイコンですが、どちらもそばの薬味としては一級品です。ネギにはビタミンCやE、カロテンなどが多いですし、大根おろしにはそばの消化を良くするデンプン分解酵素のアミラーゼが含まれています。
そばに豊富なのがルチンで、強力な抗酸化作用があり、細胞が酸化して老化するのを防ぐ働きがあります。ルチンは毛細血管を丈夫にして動脈硬化を予防する作用もあります。「人は血管とともに老いる」といわれますが、元気に長生きするためには、血管の若々しさを維持することが重要になります。その働きをしているのがルチンなのです。毛細血管が若返れば、頭部の血行も良くなり、物忘れなど脳細胞の老化を防ぐ上でも効果的です。
「年越しそば」は江戸時代から始まった習慣で、その由来には諸説ありますが、長いそばを食べて長寿を祈るというのが、最も理にかなっているようです。
根っこのもの、葉っぱのもの
2006年10月の記事
子どものころ、よく母親に「ニンジンを食べなさい」とか「菜っ葉(葉物野菜)を食べないと病気になる」と言われたものです。
今から50年以上も前の話ですが、そのころ私がいた東北地方には無医村が多く、母親は子どもの健康管理には一年中気を配っていたものです。
その結果が、ニンジンのキンピラや煮物であり、かつお節をたっぷりかけた菜っ葉のおひたしだったのです。
ニンジンにも菜っ葉にも、ビタミン類や抗酸化成分など免疫力を強化する成分がたっぷり含まれており、病気にならず、元気に成長するために欠かせない野菜です。今考えると「根っこの野菜」と「葉っぱの野菜」の重要性を食事ごとに教えていたような気がします。まさに、おふくろの「食育」です。今でも、たった数日ニンジンや菜っ葉を食べないと、落ち着きがなくなり、病気になりそうな不安感が出てきます。
ニンジンや菜っ葉に限らず、芋やダイコン、ネギ、キャベツなどの野菜が大好きで毎日食べるのがクセになっていますが、「いいクセをつけてもらった」と、今でも母親に感謝しています。
ニンジンや菜っ葉には、カロテンやビタミンC・E、食物繊維などに加えて、ポリフェノールといった抗酸化成分が多く、老化を加速させ、さまざまな病気の原因となる活性酸素をやっつけてしまう力が大変に強力です。
これらの成分には風邪を予防するパワーもあり、ニンジンや菜っ葉料理をしっかり食べて、体の免疫力を強化しておきましょう。
山ブドウは縄文人のサプリメント
2006年9月の記事
昔の里山は、実に豊かでした。山と里の境界線に広がる日当たりの良いなだらかな斜面で、ナラやクヌギ、栗の木など雑木林がありました。太くて長々としたヤマノイモが取れるのも里山でした。山の木々が色づき、落葉を始めるころになると、キノコをはじめ栗やドングリ、クルミ、アケビ、山ブドウ、ガマズミなどが山ほど採れたものです。
里山から、さらに奥に入っていくと薄暗くて、てんぐや悪いキツネ、タヌキなどがすんでいそうな、ちょっと恐ろしい本格的な山になります。
各地の縄文遺跡から、山ブドウの種子がたくさん出土しています。秋のうれしい山の恵みの一つであり、ブドウ酒を作っていた可能性もあります。土器の中に完熟した山ブドウを入れて突きつぶしておくだけで、皮などに付着している天然酵母の作用で簡単にアルコール発酵を起こすからです。
山ブドウの黒や紫の色素は、今最も注目されているポリフェノールの一種のアントシアニンで、体が酸化するのを防ぐ上で、重要な働きをしています。
コクのあるブドウの甘味はブドウ糖や果糖によるものです。疲労回復や体力増強にはもってこいで、物忘れの防止にも役に立ちます。特に色が濃くて、渋味のある品種のブドウの皮には、より多くのポリフェノールが含まれており、その酸化を防ぐ作用によって、心臓病や動脈硬化、がんの予防などにも役立つことが判明しています。山ブドウにも同じ効果が期待できます。
秋になったらサンマ
2006年8月の記事
日本人には、その季節になると、「無性に食べたくなるもの」がいくつかあります。秋だったら脂の乗ったサンマではないでしょうか。サンマの味は、体についている脂肪の含有量で決まります。漢字で「秋刀魚」と書くのも、秋の魚であり、刀のように反り返っている姿からきています。
サンマは北太平洋やオホーツク海などに生息する回遊魚。水温によって秋の気配を感じると、産卵のために北海道沖、三陸沖へと一斉に南下を始めます。
そして、脂のたっぷり乗った状態で、千葉県の房総沖にやって来ます。江戸時代、ここで捕れたサンマは、その場で淡塩を振り掛けて、すぐに快速船で日本橋にあった魚市場へ運送されました。波に揺られている間に程よく塩がなじんで、天下一品の淡塩サンマになりました。
このサンマを「ハンジヨのサンマ」と呼んで珍重したそうです。「ハンジヨ」とは「半塩」のことで、淡塩が程よくなじんだサンマのこと。つまり、江戸っ子は脂のたっぷり乗ったサンマを、最高の味加減で食べていたことになります。
どこかの殿様が、「サンマは目黒に限る」と叫んだサンマこそ、実は「ハンジヨのサンマ」だったのです。
昔も今も脂の乗ったサンマは一匹丸ごとの塩焼きに限ります。
まて火箸わたしてさんま焼いて食ひ
江戸時代の川柳で、「まて火箸(ひばし)」は「待てしばし」に掛けてあり、しちりんに渡した火箸にサンマを載せて焼いています。
旬のサンマは体重の4分の1が脂質。物忘れを防いで記憶力を向上させる成分のDHA(ドコサヘキサエン酸)がたっぷり含まれています。
スイカで夏を乗り切る
2006年7月の記事
風通しの良い縁側でよく冷えたスイカにかぶりつき、種子はポイ、ポイと庭の草むらの方に飛ばします。子どものころ、よく兄弟でやったスイカの種子飛ばしです。
冷蔵庫などない時代ですから、井戸の中につるしたり、わき水に浮かべたり。江戸時代にはこんな川柳があります。
大騒ぎ井戸へ西瓜を下女落し
全くこの通りで、井戸のなかに落とすと、引き上げるのに大騒ぎとなりました。
暑い時など、よく冷えたスイカは実にありがたいものです。スイカは冷やして食べると、食感が良くなるだけでなく、甘味も増します。主成分が果糖だからです。
スイカは、捨てるところがありません。赤い果肉はもちろん生食ですが、残っている皮は煮たり、ぬかみそ漬けにできますし、種子もいって食べることができます。
英語で「ウオーター・メロン」と呼ばれるように、成分的にはほぼ90%が水。ところが残りの10%に素晴らしい成分が含まれているのです。
ほとんどは甘味のもととなる果糖やブドウ糖、ショ糖などですが、シトルリンとカリウムという特殊成分が多く含まれています。昔から「スイカを食べたらトイレの前で眠れ」といわれるほど、スイカには強い利尿作用があります。シトルリンは尿を作る成分であり、カリウムは体内の余分な塩分を尿として排出させる働きがあるために、どうしてもトイレが近くなるのです。つまり、スイカは尿量を増やすのです。
赤い色素はほとんどが強い抗酸化力を発揮するアントシアニンで、がんや動脈硬化などの生活習慣病を予防します。また、同じ働きをするリコピンも多く、スイカは日差しの強い夏を乗り切るための健康食なのです。
枝豆で脳の老化を防ぐ
2006年6月の記事
ゆでた枝豆のことを、江戸時代の人たちは「はじき豆」とも呼びました。さやを押すと豆がピョンと飛んだりするためで、「はじき豆はずみ過ぎたでどっか逃げ」という面白い川柳があります。
枝豆は、まだ熟していない青い大豆を枝つきのまま刈り取ったもの。その呼び名は「枝なり豆」からきています。奈良時代には「生大豆(なままめ)」と呼び、枝つきのままゆでて酒のさかなにしたり、スナック風の食べ方をしていました。
枝豆は大豆の子どもですからタンパク質が多いのは当然としても、親にはほとんどないカロテンやビタミンCを含んでいるという点では、親よりも偉い! カロテンもビタミンCも、風邪などの病気に対する免疫力を強化する上で役に立ちます。
よく冷えたビールに枝豆。たまりませんなア。ゆでたてでもいいですし、よく冷やしてもOKです。濃い緑色のさやに納まった、つやつやの豆。かむとさわやかな甘みが広がります。
枝豆には、脳のなかの記憶物質を作るレシチンが含まれています。レシチンはビールの原料となる麦芽にも含まれており、枝豆とビールは大変にレシチン濃度の高い組み合わせ。レシチンは脳の機能を高める成分として期待されています。
枝豆が実力を発揮するのは、その旬である夏。枝豆にはビタミンBも多く、糖質がエネルギーになるのを助け、疲労物質を除去して夏バテを防いでくれるからです。
枝豆にはアルコールの解毒作用があるメチオニンというアミノ酸が多く、ビタミンB1 やビタミンCにも同様の作用がありますから、連携して肝臓を守る働きにつながります。骨の老化を防ぐビタミンKや、葉酸という記憶力を強くするビタミンも含まれています。
ぬかみそ漬けで今日も「快腸」
2006年5月の記事
日本人は漬物が大好きです。米の糖質はご飯のうま味のもとですが、この程よい甘さが漬物の酸味に実によく合うのです。
最近、人気があるのがぬかみそ漬けです。米ぬかに塩と水を混ぜてよく練り、まず漬け床を作って発酵させます。そのなかに、キュウリやナス、カブ、ニンジン、キャベツの葉、ダイコンなどを漬けます。
昔は、嫁ぐときに母が仕込んだぬか床を財産の一つとして持参することが珍しくありませんでした。ぬかみそ漬けにはその家ごとの作り方があり、それが何代にも受け継がれて独自の味になっていくのです。
元禄8年(1695年)刊行の『本朝食鑑』には「米ぬかは豆の粉(きな粉のこと)に匹敵する」とか「通じをよくして、のぼせにもよい」などと出ています。当時は、みそに混ぜて発酵させたり、料理に用いたりしていました。
米ぬかに多いビタミンB1は記憶力の衰えを防ぐ上で欠かせませんし、同じくビタミンB2は老化の始まりといわれる動脈硬化を防ぐ働きがあります。カルシウムや鉄分、亜鉛などの貴重なミネラルも豊富です。
特に注目したいのは亜鉛で、免疫力を高めたり、健康に有害な活性酸素の働きを抑える酵素を生成するなどの働きをしています。
つまり、米ぬかには脳を活性化させたり、体力の強化、美容効果などを高める上で役立つ成分が豊富なのです。そして、これらの貴重な成分を得られるのがぬかみそ漬け。しかも、整腸作用のある酵母や乳酸菌、酵素などを生きたまま取れるという素晴らしさもあります。
モツみそ煮込みで人生満開
2006年4月の記事
人生は幼年期から始まって少年期・青年期・成年期・中年期があり、その後に老年期が来る、というのがこれまでの人生区分でした。しかし人生90年の時代となると、これまでのくくりでは不完全です。 これからの人生は60歳からが面白い。60〜90歳くらいまでの30年間は、いってみれば人生の「満開期」であり、最も充実していて面白い年代となるでしょう。 無病息災で「ワッハッハッ」と面白く長生きするために、何が必要かというと「養生」です。年を取って体力が衰えるということは、生命が細ることです。その生命力を太く強くすることが「養生」なのです。 養生食としておすすめしたいのが「モツみそ煮込み」。なかでもレバーを使ったモツみそ煮込みは、生命力をパワーアップする上で必要な成分を豊富に含んでいます。レバーを上手に食べることが長寿への近道です。 レバーは内臓のなかでは一番軟らかく、料理に広く使われています。病気への抵抗力を強化したり、粘膜や皮膚の健康に役立ち、眼精疲労にも効果のあるビタミンAがたくさん含まれています。 ビタミンB1とB12が豊富な点にもご注目。どちらも物忘れを防ぎ、記憶力を向上させる働きがあります。若返り作用があるビタミンEや骨を丈夫にするビタミンKも含まれています。 「モツみそ煮込み」の作り方は簡単。水洗いして血抜きしたレバーを食べやすい大きさに切り、ニンニク、ネギ、こんにゃくなどと煮込むだけ。酒を隠し味にするほかは味つけはみそだけ。みそがレバーの臭みを除いてくれます。 春です。表情も体も、レバー料理で魅力アップ!
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